門番
あれから何事も問題は起こらず
3日ほど馬車を走らせた。
モンスターにもまた一度も遭遇することはなかった。
我ながらかなり運がいいと思う。
そして今目の前に広がる光景にネムとノエルは感嘆の声を漏らしていた。
「はえー‥おしゃれ‥」
「大きいわね‥」
たしかにその光景は絶景だった。
【西洋の城】で検索をかけたら出てくるような品格のある立派な城がそびえたっている。
この城を目指して来たのに実際に目の前にすると尻込みしてしまう。
不審者に思われたのか
立ち尽くす俺達3人を見て門の前に立つ
鎧を着込んだ兵士2人が警戒を強めたようで腰にぶら下げた剣の柄に手をかけた。
「ちょ、ちょっとノクティ話しかけた方がいいんじゃない?」
同じく状況に気づいたノエルがなんとかしろと圧力をかけてきた。
ネムはと言えばまだ「はえー‥」などと声をあげている。
「お、おう」
こんな時ばっかり俺かよ‥‥‥まったく
兵士の方に向かって歩み始めたはいいが
なんて話しかけたら良いものか検討もつかない。
一歩、二歩と歩みを進め
考えがまとまらないうちに兵士の前までたどり着いてしまった。
「我が城になんの用であろうか?」
門の左手に立っていた兵士がカチャと鎧を鳴らして一歩前に踏み出した。
「えっと、あの、怪しい者ではないんですぅ
ちょっと王様に用事があってですねぇ」
あまりの緊張から声が上ずってしまった。
「ほう
我が主にどんな?」
警戒は緩めないままとるに足らない奴だと思われたのか柄からは手を離して聞いてきた。
「あのですね
おかしな話なんですが
ある日急にこの世界に飛ばされたと言いますか‥
なんと言えばいいのかわからないんですが
その原因が王様らしいのでなんとかしていただけないかなあと思って伺ったのですが‥」
「おかしな事を言うやつだな‥‥‥
帰れっ!と
言いたい所だが‥‥‥名は?」
「ひっ!ノクティです
後ろにおります2人はノエルとネムと申します」
急に大声をあげるもんだからびっくりしたよ‥‥‥
本当に
「ああ
お前たちがあの
話は聞いている
案内の者を手配するからちょっとそこで待っていてくれ」
「はいわかりましたあ」
その場で直立不動でただただ案内役を待つ。
どうやって門を突破するかそれだけが懸案事項だった
ここさえ突破できてしまえばこっちのもんだ!
あとは直接王様と話をつけて日本に送り返して貰うだけ
めでたしめでたしだ。
15分ほどたってようやく門が開かれ
見た目ではかなり歳をとっていそうなのだが
背筋はピンと真っ直ぐと伸びたおじいさんが出てきた。
彼が案内役なのだろうか?
「ノクティどのノエルどのネムどの
お待ちしておりました
今回案内人を務めさせて頂きますドルガンと申します
以後お見知りおきを
王もお待ちです
ささこちらへどうぞ」
「は、はい
行くぞ!」
「うん‥」
「はい、はい」
ドルガンと名乗るおじいさんに促されるままに俺達3人は城内に足を踏み入れた。





