ショッピング
ネムの買い物に付き合うこと数時間‥
日も傾き夕方になっていた。
あれでもないこれでもないとドレスを取っ替え引っ替えで選んでいたのに、いざ買ったのはブローチ1つだけ
服が欲しかったと言うよりウィンドショピングがしたかっただけのような感じで
「おばさんから‥ドレスたくさん貰ったから‥やっぱり‥我慢しとく‥!」とのこと
それとは対照的なのがノエル
買い物にはそんなに乗り気では無かったはずなのにオーダーメイドで服を作らせていた。
今着てるのと同じ用な物を発注したみたいで
結構値が張るからと忠告したのだが
「ネムに覗いた事話すわよ?」と可愛くねだられたので二つ返事でOKをした。
そして俺は鎧と剣を買おうとした。
でも試着したらゲームの世界のようにはいかず
重くて動けなかった
やむ無く体の前方まで覆える黒いコートみたいなマントを買った。
剣の方はロングソードが欲しかったのだけど
装備して鞘から引き抜けない事と重くて振れない事が判明
泣く泣く両手で扱う短刀を二本買った。
なんかどっかの誰かさんに似てるような気もしなくはないが考えるのは止めておこう‥
そして今は、その帰り道
「どう‥ノクティ‥似合う‥?」
ユニコーンをモチーフにしたブローチを左胸につけて
こちらに見せびらかしながらネムが聞いてきた。
「ああ似合ってるよ」
とりあえず相づちを打っておけば言いかと適当な感じで答える。
「うふふ
これで‥ユニとお揃い‥!
ノクティ‥ありがとう‥」
そういう意図があってユニコーン型のブローチにしたのか
しかしユニとお揃いってのはちょっと意味合いが違う気がするが‥‥
「あんたたちずいぶんと仲良くなったのね」
それまで俺とネムのやり取りを黙って見ていたノエルがニヤニヤしながらそんな事を言い出した。
「別に‥‥‥
仲悪くは‥ないよ‥うん」
しどろもどろになりながらも俺を傷つけない言葉選びをしているネム
「ふーんそうなんだー
ネムが私以外に笑いかけてるなんて初めて見たなー」
ニタニタしながらさらに追い討ちをかける
「ふぇ‥‥!?
そういえば‥ちょっと‥ユニが心配だから‥先に戻るね」
返答に困ったのか早足になりぐんぐんと俺達から遠ざかっていく。
「おいおい!お前趣味悪いぞ
からかうのもほどほどにしておけよ」
「ごめんごめん
なんだかね嬉しくなっちゃって」
舌を出しておどけて見せている。
急に真剣な感じになり
「あのこ‥友達少ないから
仲良くしてあげて」
とても優しい目で遠くなっていくネムの後ろ姿を眺めている。
こいつこんな目もできるんだな‥
「それはお願いされるようなことじゃない‥‥‥
でも‥‥‥当然だろ」





