医者とドラゴン3
「ここが神殿だぞぉ!」
すぐそこみたいな口振りでここまで連れてこられたが
野宿もしながら2日もかかってやっとたどり着いた(途中、街もあったのだがKが立ち寄るのを嫌がった)
しかしこの2日の出来事でkの言い分を俺はすっかり信じこんでいた。
このワールド……いや世界はゲームじゃない
歩けば疲れるし腹も減る
もちろん眠気も襲ってくるし転べば痛いし血も出るという事を身をもって経験したからだ。
これが現実となってくると問題もある
どうやって俺は元の世界に戻ったらいいのだろう……?
まあニートだし戻る必要もないんだけどね……怖いじゃん?
この世界には当然のようにモンスターもいるらしい
とても巨大で狂暴なドラゴンなんかもいるとkが言っていた。
この二日の旅の間遭遇しなかったのはとても運が良かったと思う。
「さてと……」
目の前には想像していた歴史の教科書で見たような神殿とは違い木で組まれた神殿とはとても呼べない簡素な小屋がたたずんでいた
「これが神殿……なのか?」
その小屋は目新しかった。
最近建てられたような感じだ。
「前は立派な神殿があったみたいなんだけどよぉ!
ドラゴンに破壊されてからはこれみたいなんだぁ!
とりあえず啓示受けてこいよぉ!」
と言ってkは小屋に入るように促してきた。
ってかドラゴン?
ここらへんドラゴンいんの?遭遇しませんように遭遇しませんように遭遇しませんように!
「ちょっとここの雰囲気苦手だからよぉ
外でまってるわぁ!」
頭上で腕をクロスしてバッテンマークを作り大袈裟に高く掲げている
なんかめんどくせえやつだな……
しかたないな
「わかった
ちょっと行ってくる」
ここまで何のために来たのか俺はまだ知らない
Kは説明する気がないのか2日間、何を聞いても
「行けばわかるからょぉ!」しか言わなかった。
今更だがもしかしたらやつについてきたのは失敗なのかも知れない……
とりあえず来てしまった以上は啓示とやらをうけるしかないか‥
扉は開いていたのでそのまま中に足を踏み入れる
「失礼するぞ」
部屋は左右にひとつづつあるようだ
中央には2階へ続く階段もある
階段の左の柱に看板が備え付けてあった
【啓示をご希望の方は左の部屋へ】
左か
部屋に足を踏み入れると部屋の真ん中を境にしてカーテンで仕切られている
カーテンの中の様子は見えないがこんな会話が聞こえてきた
「じゃあ私は魔法使いなのね!」
と元気いっぱいに話す女の子の声が聞こえてきた
「なれるのではなくあと14年すればという話です」
こちらは落ち着いたトーンの女性の声といった感じ
「ふーんそっかありがとう!
努力すれば早くなれるでしょ!
じゃあありがとう!
行くわよネム!」
「努力すれば早くなれるというものでも‥
あっ!お待ちください!」
勢いよくカーテンが開かれる。
少し目付きのキツイ小さい可愛らしい女の子が出てきた。
「神官さんありがとうございました…!
待って…ノエルちゃん…」
続いてもう1人女の子が前の女の子の後を追うように勢いよく飛び出す
「あっあのー……
……全く最後まで人の話を聞かないで」
せわしなく俺の横を二人の女の子が駆け抜けて行った
ノエルとネム?
なんかどっかで聞いたことあるような名前だな……
なんて考えていると不意に声をかけられた。
「なにかご用ですか?」
開かれたカーテンの先からこちらを伺うようにして1人の美少女がこちらを見ている
はっと我にかえる
その声の主はシスターのような服装なのだが
タイトなロングスカートでスリットがかなり際どい所まで入っている服装だった
男だったら一度見てしまったら目が離せなくなる
「あのぉ……」
気がつけばスリットから覗く白い足をガン見していた
若干引いたような目付きで俺を見ている。
その目……たまらん。
これだけで‥Kに着いてきた意味があったのかもしれない
「あぁ……失礼!
啓示というものを受けたくて来たのんだけど」
スリット部分を引っ張って恥ずかしそうに隠すような仕草をしながら
「……
わかりました
そちらにお掛けください」
そういうの……
凄く良い……たまんないよ
カーテンで仕切られた中はテーブルを挟んで対になるようにイスが4つ並べて置かれていた
促されるままに手前のイスに座る
向かって奥にあるイスに美少女も続いて腰をおろした
「はじめまして
私はここで神のお言葉を皆様にお伝えしているセイラと申します」
「ああ
はじめまして
俺はノクティだ宜しく
まず啓示とはどういうものなんなんだ?」
「話すより実際にお見せした方が早いですかね」
そう言うとセイラが右手を差し出す。
握手かと思い右手を差し出すが空を切る
握手ではないようだ。
ごまかしで顔を掻くふりをしてやり過ごす。
ちょっと恥ずかしい
セイラの方に目を向けると
目をつむって天を仰ぐようにして何か呪文のようなものを唱えているようだ
「見えました
あなたが私に神に聞きたいことが!」