ユニのごはんって?
むしゃむしゃとご飯を頬張りながら考え事をしていた。
なんか忘れてる事があるような‥‥‥
‥‥それも大事な事‥‥
「そういえばユニって‥なに食べるんだろう‥?」
唐突に素朴な疑問という感じでネムが問いかけてきた。
「表に繋いでる一角獣の事かい?
葉っぱ食べさせとけばいいのよ!葉っぱ!
草むしりの手間も省けてありがたいわ!」
ガハハハと豪快に笑うおばさん。
ユニ‥‥‥?
‥‥そうだ!
なんでこんな大事な事を忘れていたんだ!
「おばさん!町の外れの方に農場を経営してるおじいさんと孫がいるだろ!?
あの2人はあまり良くない事をしてる可能性があるんだ!
通報するとしたらどこに通報すればいい!?」
話を聞いておばさんが首を傾げている。
「‥‥そんな人達この町にはいないと思うよ
この町はそんなに大きな町じゃない
大体みんな顔見知りなんだよ
町の外れで農場経営していた家族はたしかにいたんだけどね‥‥
マーダーコングに拐われて‥今は‥‥」
後半部分はハッキリとは話してくれなかったが、犯人と思われるおじいさんから聞いた話しとも合致する。
つまり現実に起こった事件を利用して旅人を拐おうとしたって事なのか‥
人の良心を踏みにじる許せない行為だ。
わなわなと怒りが沸いてくる。
はっ‥!
‥‥‥ちょっと待てよ‥俺とネムを探しに行ったノエルがもしあの家に辿りついてしまったら‥‥‥
すぐに見つけなければノエルが危ない!
大口を開けてご飯の残りを掻き込むと
おばさんに「ごちそうさま」とだけ告げてすぐに席をたった。
「はいお粗末様でした
ちょっとそんなに慌ててどこに行くんだい?」
「ちょっと急用ができた
悪いけどネムはお留守番しててくれ
ノエルとすれ違いになっても困るしな
‥‥夜までには戻る!」
「うん‥それはわかったけど‥どこ行くの‥?」
ノエルを探しに行くなんて言ったら絶対にネムは着いてくると言うだろう
だからここは‥
「ちょっと素材買い取り屋に行ってくる
やっぱりお金がないと不安だからな!」
嘘をつくのは心苦しいが
ネムまで危険に巻き込む事はないからな‥
「わかった‥行ってらっしゃい‥!
気をつけて‥」
「うん」
ネムが笑顔で両手を体の前で振って見送ってくれた。
なにか込み上げてくる物があるがそれを押し殺して宿の両開きの扉を勢いよく開くと町外れに向けて走り出した。





