異世界風呂
「‥クティ‥クティ‥‥きて」
何かが俺の体を揺すっている。
人の安眠を邪魔するとは録なものではない。
しぶしぶ目を開くとネムが横に座って俺を揺さぶっていた。
「やっと起きた‥!
ノクティ大変だよ‥!」
「大変ってなにが?
いてて‥」
起き上がろうとすると体がギシギシと痛む。
どうやら少し休むつもりがそのまま地面で眠ってしまっていたらしい。
「‥たしかにこれは大変だ‥
すぐに出発しよう」
もう日は昇っている。
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ユニの案内で町まで戻ってこれた。
寝入ってしまっていた場所からは1時間強くらい。
ユニは宿の横にあるスペースで待機。
大急ぎで宿に向かうとおばさんが出迎えてくれた。
「あらあら~二人とも朝帰りとは若いわねえ~」
口元を手で隠しながらニヤニヤ
完全に勘違いしている。
「いや違うんだ!ちょっと聞いて」
俺が言い終わる前にネムに言葉を遮られる。
「あの‥ノエルちゃん‥起きてますか‥?」
余程ノエルの事が気になるのだろう
おばさんの言葉なんて耳に入ってないって感じだ。
「ああノエルちゃんならね
二人が朝になっても戻って来てないからって探しに行くって出ていったよ
それより二人とも
そんなに汚しちゃって‥
浴場に行って来な
まだやってる時間じゃないけど私が話つけてあげるから」
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「ふぅー
やっぱこれだよなー」
ザブンと勢いよく入りたい気持ちを抑え
この世界に来てから初めてのお風呂にありついている。
正直、異世界のお風呂を舐めていた
想像していたものより立派だった。
岩をくりぬいて作られた湯船に源泉掛け流し。
しかも打ち身に効能があるらしく今の俺には持ってこい!
ただ1つだけ残念な事が‥‥男女別って事だ。
この世界の貞操観念は結構しっかりしてるみたいだ‥
おばさんは俺のボロボロの服を見ると気前よく服もくれた。
おばさんの息子が家にいる頃着ていたものだそうで
中世ヨーロッパの農民が着ているような服だがとてもありがたい。
さてもうそろそろ出ようか。
久々のお風呂だからもう少し入っていたいが、
ご飯も用意しておくから早く戻るようにおばさんに言われている。
ネムとは入り口で待ち合わせしている。
きっとネムの事だ気を使って早く待っているに違いない。
待たせるのも悪い。





