ギャップ
小川はギャップの端に流れていた。
すごく綺麗な水の流れ
清流といってもいいほど綺麗だ。
「本当に最悪だ‥」
今はその小川で例のう○こに汚染されたトレーナーを洗って清流を汚染している最中だ。
ちょっと後ろめたい気持ちもあるが俺が悪いわけではない‥‥よな?
「はあ‥」
産まれてこのかた洗濯なんてしたことなかった。
その俺がまさかこんな昔話に出てくるような方法で洗濯をするはめになるなんて‥
「あのゴリラ野郎、次会ったら覚えとけよ‥」
次会う機会があっても決して果たされる事のない願いを口にしてみる
それにできる事ならもう会いたくない
トレーナーを洗い終わり手近にあったちょうど良い高さの木に干してから
次は首筋を洗い始めるが
インナーに水がかかっても嫌だなと思い
それも脱ぎトレーナーの横にそっとかけた。
洗い終わってインナーを着ようと手を伸ばす
あれ‥‥?
‥ない
トレーナーもない‥
「ウホッ」
うすら寒いものを感じながら振り返る。
やつは俺のトレーナーとインナーを間違った装着方法で着ようとしている。
足からダイナミックにトレーナーを履いて
インナーに関しては「らめー」って声が聞こえて来そうなくらいぎゅうぎゅう引っ張ている
無理に引っ張るもんだから案の定ビリッ!と音をたてて左右に袖のところだけ引き裂かれた。
あーあ‥
破れた袖の部分だけ腕に通して
歯を見せてウッウッと笑っている。
「おいお前ふざけんな!トレーナー返せよ!
それしか服持ってないんだぞ!」
恐怖よりも上半身裸で歩かなきゃいけなくなる羞恥心が上回って思わず声をかけてしまった。
「ウホッ?」
俺が声をかけるまではこちらに興味を示してなかったようだ。
余計な事をしてしまった‥。
こうなってしまったからには仕方ないとマーダーコングに突撃をかける
とりあえずトレーナーを奪い返そうと
テレビで見た事がある
見よう見まねの高速タックルを足元に仕掛ける。
「こんちくしょーっ!」
ドガッ!
「ウッ!」
不意打ちが項をそうしたのかマーダーコングを転倒させる事には成功した。
が、激しく抵抗するもんでトレーナーをなかなか脱がせられない。
ふとこんな事を考えていた‥
人形の物を押し倒して‥
嫌がる相手を無理矢理脱がせようとしてるって‥まるでこれって‥‥‥
いやこれ以上考えるのはやめよう‥‥
「ウーウーウーウー!」
抵抗しながらマーダーコングが大声で鳴き始めた。
あたり一面に響き渡る。
その隙をついてなんとかトレーナーを奪い返す事ができた。
勝ち誇っているとガサガサと周囲の草むらが揺れた。
それも1ヶ所じゃない。
その中のひとつと目があった。
今死闘を繰り広げたマーダーコングよりかなり大きい個体が
威嚇をするように牙を剥き出しにして、こちらを睨んでいる。
気がついたら殺気だったマーダーコングの群れに囲まれていた





