う○こ
横切った物の方に目を向ける
「ん‥?土‥のかたまりか‥?」
パンっ!という音と共に不快な感触が首筋に広がっていく
その感触のあった箇所を確かめるように手で触れて‥‥って
「くっさ!なんだよこれ!」
ネムが俺から距離を取るように一歩二歩と離れていく。
この臭いそしてこの色‥‥そうこれは‥う○こに違いない。
誰だよこんな悪趣味な事するやつは!
飛来物の飛んできた方に目をやると
歯をむき出しにして笑っているゴリラみたいな生き物がいた。
あれは‥マーダーコングだ。
全長150センチほど
チャチルキングダムで見たことのあるサイズに比べるとかなり小さい。
ゲーム内では3メートル近くあったはずだが
この世界ではこんなもの何だろうか?
「ねぇノクティ‥!あのこなんか‥手に持ってる‥!」
えっ?
「ウホッウホッウホッウホッ」
凄く楽しそうに飛び跳ねている
その手元には黒い何かが握られている。
「ヤバい!ネム逃げるぞ!」
「ヒン!」
「‥なに‥?」
ユニがネムに何かを訴えている。
状況から察するに背中に乗れって言っているのではないだろうか?
ネムは理解していないみたいだが。
「ネム!ユニは背中に乗れって言ってるんじゃないか?」
ユニはネムが乗りやすいように足を折って姿勢を低くした。
「いいの‥?」
恐る恐るといった感じでネムはユニにまたがった。
ヒンと鳴いてユニも誇らしげだ。
さてじゃあ俺もと後ろに回り込んで乗ろうとした瞬間
ユニが立ち上がり足蹴にされた。
どてっと地面に転がされた。
「いって!何すんだよ!っておい!」
俺が言い終わる前にユニは走り出した。
「ユニ‥待って‥あっ‥」
振り落とされそうになりユニの首にしがみつく体勢になるネム。
「ノクティ‥!」
タタタンタタタンタタタンという小気味いい音をさせて
あっという間にユニとネムの姿は見えなくなった。
俺だけを残して‥
「マジ‥かよ‥」
呆然と立ち尽くしているとヒュン!と顔の横を黒い何かが通過していった
「ウホッウホッ!」
「くっそっ!あのくそ馬覚えてろよ!」
ユニとネムが走り去った後を追うようにガムシャラに走り出した。
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「本当にふざんなよ‥
まったく‥」
マーダーコングは走るのはそんなに早くないようで簡単に撒けた。
逃げる背中に2発ほど追加でう○こを貰ったのは俺とマーダーコングだけの秘密だ。
それにしてもあいつらはどこまで行ったんだ?
ユニが地面を蹴った後が残っているからこの先にいるのは間違いないが‥
などと考えながら歩いていると前方に光の差し込む開けた場所が見えてきた。
俗に言うギャップってやつだ。
水が流れる音もする。
運良く川もあるようだ。
ここで洗い流していくか‥





