遭遇
ネムが連れている【神々しい何か】
もといユニが急成長?して巨大化してしまった。
そのせいで繁みを進む事のできない俺たちは、
一筋の道-獣道-を通って移動していた。
横に並んで歩けるような道ではないので
たてに一列に並んで進んでいる。
先頭を歩くのは俺
アドレナリンがでているのか脇腹の痛みは自然と感じない。
念のためネムに回復魔法をかけてくれと頼んだが魔法を使えなかった。
魔法を使ったのはユニだった‥のか?
2番手にネム
ひっきりなしに振り返ってはユニが付いてきているか確認しているようだ。
殿を勤めるのはユニ
ネムが振り返る度に鼻を「ふんっ」とならして答えている。
俺達の今の目的は森を脱出すること
こんな森にもう用はないのだ。
あれから30分ほど無言で歩いていた。
少し緊張感も薄れつつあった中
ネムが話かけてきた。
「‥‥ノクティ‥ちょっといい‥?」
「ん?どうした?」
振り返ってネムの方に顔を向ける
キョロキョロ辺りを見回して落ち着かない様子だ。
「‥なんかね‥さっきから‥誰かに見られてる気がするの‥」
周囲を見回してみるがそんな気配はしないが―
先ほどあのような事があったばかりなのだ
敏感になるのも無理はない。
「多分‥気のせいじゃないか?
この森を抜けるまでの辛抱だから‥な?」
不安げな顔でネムが頷く
「‥うん‥」
頑張れの意味を込めてネムの頭をポンポンと二回撫でた
「ふぇ!?」
一瞬でネムの顔が真っ赤になった。
やっべ!嫌だったかな‥
ニート特有の人との距離感を掴むのが苦手な部分が出てしまった。
「あっちょっごめん本当ごめん」
ちょっとキョドってキモい感じになってしまった。
「‥別に‥大丈夫‥!」
やっぱりちょっと怒ってるな‥
うーむ
顔を染めてるネム越しにユニが遠くの音を聞いているのが見えた。
両耳をある一方に向け視線もそちらに向けられている。
「ユニどうかしたか?」
「‥‥‥」
「ユニ?」
「‥‥‥」
無視かよ
ネムも気づいてユニに声をかける
「どうしたの‥なにかあった‥」
ネムが声をかけると
ハッとしたような表情になり鼻先でグイグイとネムを押し始めた。
「なに‥?‥どうしたの‥ユニ‥?」
早く進めと催促しているように見える。
俺たちには聞こえない何かを感じ取ったのだろうか‥?
‥‥そうなってくるとネムの感じた視線というのも少し気になる
「先を急ご‥
おわっ!?」
ヒュンっと黒い何かが目の前を横切った





