ピンチ2
一歩二歩と男がネムに歩み寄っていく
やめろ!やめてくれ!
「うっ‥や‥め」
胸を強く圧迫されているせいでうまく声がでない。
あと一歩まで迫る
だめだもう見ていられない‥
ごめんなネム
俺はこんなに弱いのに嘘をついたから
それで‥そのせいでこんなことに‥
ふがいなさで、情けなさで、申し訳なさで
頬を滴が伝う。
「プラントリリース!」
ネムが蔓の呪縛から解き放たれる。
胸の圧迫がなくなりケホケホと噎せている。
「さてまずは‥なにをしてもらおうかなあ‥
ご無沙汰‥なんだよ」
ニヤリとしながら男がネムに手を伸ばす。
目を逸らした。
見ていられない。
強く目をつむった。
ネムに男が触れるかどうかその時だった
何かが目を強く刺激した。
「うっ!」
「おう!?なんだ!?閃光スキルか!?」
男が叫ぶ。
まぶた越しでもわかるほど激しい光だった。
まだチカチカとしているが薄目を開けて光の発生源を探る
崖の上だ。
あそこにあった‥いやいたのは【白いの】だったはずだが、一体何が?
「ヒヒーイィィン!」
けたたましい嘶き(いななき)が辺りに響きわたる。
光が収まると先ほどの【白いの】とは比べ物にもならない立派なユニコーンがそこにいた。
それはチャチルキングダムで見たそのまま‥いやそれ以上に神々しい姿だった。
その姿を見た男は一歩二歩と後退りをする。
「くっ‥」
【神々しい何か】は崖をひょいと軽く飛び降りると男と対峙するように向かい合った。
明らかに男は狼狽えていた。
「冗談だろ‥こんなことあるのか‥?
急成長しやがった‥
成獣の一角獣相手じゃ部が悪い‥」
少しずつ後退りして茂みに片足を踏み込んだその時【神々しい何か】が動く。
立派な角を男の方に突き立てて突進した
「ユニ!やめて!」
ネムが叫んだ。
ネムの声に気をとられたのか【神々しい何か】は攻撃を外す。
勢い余って木に角が刺さってしまい
身動きが取れないようだ。
これ幸いと見た男が
茂みの中へと逃げ込んでいく。
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かれこれ10分ほどたっただろうか
ネムに蔓をほどいてもらい捕縛から解放され
ようやく落ち着いてきた
とりあえずみんな無事で良かった。
本当に良かった‥
「ネム悪かったな‥」
一言では済まされない
いろいろな意味合いがその言葉には含まれている。
「ん‥なにが‥?
それよりも‥ノクティ体‥大丈夫‥?」
人差し指を頬に当てながら
何にたいして謝られているのかわからないといった感じだ。
逆に俺が心配される始末‥
まったくこいつは‥
「うわぁーーーーー」
男が先ほど逃げて行った方角からこの世の終わりを知らせるかのような絶叫が聞こえた。
なにか嫌な予感がする‥
「ネム!この場を離れるぞ!」
「うん‥!
ユニ‥!行くよ‥!」
「ヒンッ」





