ネムの決意
蔓を掻き分けた穴の中は思ったよりも狭くほふく前進するような形で進んできたため服が土でかなり汚れてしまった。
立ち上がり服に付着した土などを払い落とす
「本当最悪だな
これしか服ないのによ」
これしか服がないというのもこんな事が続くのなら問題だな
なんとか調達しないとな
「‥‥ねえ‥‥ノクティ‥‥‥見たの‥‥?私のパンツ‥?」
消え入りそうなほど小さい声
ネムの方に顔を向ける
俯いていて表情までは伺い知れない
パンツを見たかと言われれば見ていない
見ようとしたか?と聞かれた訳ではないから
ここは
「大丈夫!見てない!」
これで正しいはずだ
「本当‥?」
恥じらいのある上目使いでこちらを見ている。
‥破壊力抜群である!
「本当だ!大丈夫!」
満面の笑みで親指を顔の前で立てて見せた‥
自分でやっておいてなんだが凄く胡散臭く感じる
ネムもそう感じているに違いないな‥‥
‥‥‥こう言うときは話題をすり替えるに限る
「なぁネム
なんかここ凄い薄気味悪くないか?」
そうあたりはとても薄暗くじめじめしていて
得体の知れない鳥?の鳴き声が響いている
正直ちょっと俺も怖い
ネムは辺りを見回す
すると徐々に表情が強張っていく
ネムも俺と同じ感情を抱いたのだろう
トタトタと俺の横に駆け寄ってくると
服の袖口をきゅっと掴んできた。
「怖いならやめとくか?
今ならまだ引き返せるぞ」
そうしてくれるなら俺としても願ったり叶ったりなんだが‥
一瞬うなづきかけた
しかしうなづかなかった。
小刻みに震えているのが服越しに伝わってくるのに、だ
一瞬の沈黙の後
ネムは決意に満ちた目でこう言った
「おじいさんとの約束‥果たさなきゃ‥!
お孫さんまでいなくなったら‥おじいさん1人になっちゃう‥!
それでもいいと思うの‥?」
良くはないと思う。
そう思うけど、やれることとやれないことの分別はついてるつもりだ。
ちょっと関わってしまっただけの他人のために命を張る意味があるのか‥?
そんな考えが脳裏を巡る
しかしネムのこの思い‥無下にしてもいいのだろうか?
‥
そうだな‥
そうだよな‥
「ネム‥いくぞ!」
「うん‥!」
今までにないくらいネムが力強く頷いた。
俺とネムは歩きだす
森の奥へ
きっとマーダーコングを倒すのは無理だろう‥
だけど、まだじいさんの孫が捕まっているとも限らない。
仮に捕まっていたとしても救いだして逃げるくらいはできる
それにいざとなれば‥‥





