大部屋か個室か
「やっと着いた‥」
「「‥」」
夜明けに見えていた町は思ったよりも遠く
俺を含めノエル、ネムもぐったりしていた。
とりあえず宿屋で部屋を取ろうかと提案するとノエルとネムも賛成してくれた。
セイラから貰った餞別のおかげでとりあえず久々のベットにありつけそうだ。
セイラたんマジ天使
必ずこの恩は返すよと心で念じてセイラのいるであろう方角を向き十字を切る。
「‥あんたなにしてんの疲れてんだから早く行くわよ‥」
目付きがヤバイ‥‥人殺しの目をしている。
「はい‥わかりました」
振り返り町の方を見ると門の内側で掃き掃除をしてるおばさんがいる
これはちょうどいい
「ちょっといいかい?
聞きたい事があるんだが、宿屋と素材買い取り屋はどこにある?」
おばさんが顔をあげる
「宿屋ならすぐに案内するよ!素材買い取り屋なら町の一番奥にある
ちょっと変わってる建物だからすぐわかる!
さあさ宿屋はこっちだよ」
おばさんに宿屋に案内してもらう
親切な人だなぁ
宿屋内に案内されるが店内に人は誰もいない
入り口正面のカウンターはもぬけの殻だ
「さぁいらっしゃい何泊するつもりだい?」
案内してくれたおばさんがそう言った
「やけに親切だと思ったらそういうことか‥
おばさんが店主だったんだな?
そうだな‥とりあえず一泊でいいんだが状況により変わるかもしれない」
「店主は私の夫よ
商売人はみんなこうさ
わかったよ!
部屋はバラバラにするのかい?
それとも大部屋かい?」
料金表を見せてもらう
個室なら20チャチルづつで60チャチル
大部屋なら50チャチルですむみたいだ
少しでも節約したい
「大部屋で」
隣から凄い殺気をかんじる
恐る恐るそちらに目を向ける
「はぁぁぁぁぁ!
なんで私があんたと同じ部屋で寝なきゃならないのよ!」
死んだような顔をしていたのとはまるで別人
鬼のような形相をしている。
この顔を見たらドラゴンでも尻尾を巻いて逃げていきそうだ。
「ちょっとでも節約したいんだ
わかってくれ」
節約したい主旨を伝えてもノエルは一歩も退かない。
「どうせ大金が入るんだからそんな事しなくていいじゃない!
絶対にあんたと相部屋なんていやだからね!
おばちゃん個室3つにしてちょうだい!
ネムもその方がいいでしょ?」
ネムもいつものようにコクコク頷く
「ほら多数決で決まりよ!
わかったわね!」
こうなったノエルを止められる奴はいない
おばさんも困り顔だ
「どうするんだい?」
「‥個室で頼む」
押しきられる形で個室に泊まる事になったが
これでセイラから貰った餞別が残り140チャチル
まぁなんとかなるだろう‥なるのか?
一抹の不安を覚えながらそれぞれ部屋に案内されて自由行動とすることになった
さすがの俺も疲れた
少し仮眠してから買い取り屋に向かうとしようか





