それぞれの道へ
俺が小山いやアイテルを倒した後ネムを生き返らせる事もできて、ネイソンの母親であるセイラの病気も治せ一応の目的は達成することができたのだがノエルの願いは結局最後まで教えてくれなかった。
他には……どこから話せばいいのか少し難しいところだけど、俺が小山の側近に狙われる事はなかった。
というより逆に感謝された。
みなが倒れていたのは小山のスキルの洗脳が解けて個々の意識が戻ってくる過程で気を失っていたのだとセイラ(女神)が教えてくれた。
そしてその結果この国の新国王にと、祭り上げられかけたのだが、俺は断った。
もっとふさわしい人物がいるとネイソンを推薦した。
絶大な指示を得ていた、死んだと思われていた先王の実子。
ネイソンの存在を知ったこの国の民達は熱烈な歓迎をすると
そのまま自動的にネイソンは王となった。
もちろんセイラ(おばちゃん)も歓迎され城に戻っていったのである。
そして俺はネイソンに相談役としての役職と先王の名前から取ったニートの称号を与えられて、名実ともにニートになったのだ。
ネムとノエルは、と言えば2人とも日本に帰ってしまった。
ネムはネイソンにプロポーズをされて、ノエルも俺と同じ相談役としてこの国に残って欲しいと頼まれていたけどあいつらはそれを断って帰ってしまった。
プロポーズを断られてネイソンは落ち込むかとも思ったがそんな様子もなく『それでこそさすが姐さん!』と目を輝かせていた。
安定した生活よりも夢を取ったのだ。是非頑張って欲しいと思う。
2人が帰った事によって残された2人のペット、ユニとヒナは俺があの小屋で一緒に生活をしている。
相変わらず言うことは聞いてくれないが、ここ最近はなんか愛着が沸いてきて可愛く見えてきた気がする。
そしてなぜ俺が日本に帰らなかったか、このままここにいればお気楽ニート生活ができるからとみんなには説明して『うわー……こいつ……』ってな具合にどん引かれたが実際の所は少し違っていた。
俺は人を殺めてしまった。
この世界においてはなんてことのない事なのかもしれないけれどその業を背負ったまま、日本でのほほんと暮らしていける自信がなかったからだ。
ごめんな母ちゃん父さん俺がそっちで今どんな風に扱われているのかはわからないけど、俺は異世界で元気にやっています。
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気持ち良く寝入っていると俺の体を激しく揺さぶる感覚に襲われて目が覚めた。
俺を揺さぶっていた人物、ベットの横にはセイラ(女神)が立っていた。
「猪野口翔哉さん
お願いが、あるのです」
「んー?」
俺は寝ぼけ眼でよく理解をしないまま頷いていた。
「以前ゼースという人物が人身売買を行っていた、と言うのを本人から聞いたことがありますよね?」
「んー?」
「その売買された彼等は隣国のシェール公国で奴隷として厳しい生活を送ることを余儀なくされています」
「んー?」
「ゼースの売りさばいた旅人達は元々日本人なのです
ここでお願いです
彼等を助けだし日本に送り返す手助けをしてくれませんか?
もちろんお礼もしますので!」
「んー」
寝ぼけて適当に返事をしてしまっていた。
「そうですか
ありがとうございます!
ではあとは宜しくお願いします!」
そう告げるとセイラは跡形もなく消えていた。
しばらくボーッとしてから自分のしてしまった過ちに気づくも後の祭り。
「まあいいか毎日ダラダラしているのも暇だし
ユニとヒナの散歩もかねて最強騎士出陣と参りますか」
出立の準備を整えて表に出るもヒナもユニも勝手にどこかに遊びに行っていた。
こうなったら奴らはいつ帰って来るのかもわからない
「はぁ……一人で行くのかよ……
しかも徒歩で……」
まあいいかと隣国へ続く道へと至る街道を俺は一人歩きだした。
そういやマーシャとイーシャはあれ以来行方不明らしい。
この先またどこかで鉢合う機会もあるやもしれないな。
など考えながら歩き出して数歩、唐突に背後から声をかけられたのである。
「ノクティ!私達を置いていくなんてヒドイんじゃない?」って





