巨大な月そして太陽
小屋から一番近い町に向かう道中
「それにしても月?なのかしら?
日本で見たのとは違って本当に大きいわね!」
ノエルがそう言いながら指差す先には地球から見た月の4個分はあろうかという巨大な天体が浮かんでいた
そのせいもあってか部屋の照明の豆電球をつけているくらいの照度はある。
「たしかにデカイな!こっち来てから小屋に行くまで2日野宿してたんだけど全く気がつかなかったな」
あのときは余裕が無かったからなのか
なにも教えてくれないKにイラついていたからなのかまったく目についていなかった。
この世界に似たチャチルキングダムでも月は大きかったような気がするが
あのゲーム内では夜間でも色彩補正がかかって普通に見えていたから気にしたこともなかった
「なぁノエル、チャチルキングダム内の月ってこのくらい大きかったっけ?」
「月?知らないわよ
あのゲーム自体人に頼まれてやっただけだから」
「そうだったのか
じゃあなんであんな高難易度のドラゴン討伐を俺に依頼したんだ?
あんな初心者装備で」
「だからそのドラゴン討伐依頼をあなたにするように頼まれてあの日だけやってたのよ!」
数秒の沈黙
「‥それ本当なのか!?
つまりその依頼してきたやつが俺達をこの世界に送りこんだ黒幕なんじゃないか
どんな奴だった!?
知り合いか!?」
「知り合いと言えば知り合いね
でも誰かってのは教えられないわ!
それにたまたま偶然こうなってしまっただけかもしれないじゃない?
だからネムも教えちゃダメよ!」
「うん‥!おしえないよ‥!」
コクコクと頷いている
なんて従順なんだ
今のやり取りを見るにネムもその人物を知っているみたいだ。
ノエルがいる前では無理そうだがネムと二人きりになれるタイミングがあれば
押しに弱そうなネムなら聞き出せるかもしれない。
ちょっと質問を変えるか
「なぁネム?」
「ダメよネム!教えちゃ!」
ネムと俺の間に入り込んでブロックしてきやがった
なんか腹がたつが
豊満な何かが当たっているから許してやるとする。
「いや
違う質問なんだ
お前たち仲がいいなというかネムが凄い従順だなって思ってさ
どういう関係なんだ?」
「それはねノエルちゃんがーじむ」
ネムが話し出すや否やノエルが口をふさぐ
ネムが手をバタバタしながらモゴモゴ言っている。
「じむ?」
なんだそれ?
「なんでもないわ!
ただの友達よ!」
なんか怪しいなーその慌て方
「今じむって聞こえたんだが」
「気のせいじゃない?
何も言ってないわよね?
ネム?」
ネムは塞がれていた口を解かれて
ふっーと深呼吸してから
「うん‥!わたし何もいってないよ‥!」
やはりノエルがいる限り二人の秘密を聞き出すのは難しそうだ
これからチャチル城につくまでの間にチャンスはあるだろう
「あっ‥あれみて‥!」
ネムが指差す先
そこには地平線から悠然と昇る太陽
さらにその右手には目的地としている町の門が見えている
「さぁもう一息だな!
行こうか」
「うん‥」
「そうね!」