ゼース
*3
「ゼース様お久しぶりです
こんな再会となってしまい申し訳ないのですが
無礼を承知でやってまいりした」
久々に見るそのすがた
白髪に立派に蓄えられた真っ白な髭がこちらに椅子事振り替える。
「ああ?
おおネイソンか
今まで何をしていた?」
俺の横にいる姐さんの姿を視認すると納得したようにこう続ける
「あの時の女をつれてきたのか
女は捕まえたらそのまま他国に売れといつも言っているのになぜ連れてきた?
ん?それにそのおまけのおちびちゃんはなんだ?
金にならんだろうに」
そのおちびちゃんが「はあ?初対面でなんなのこのじいさん?」なんて低い声を出しているがそれはスルーだ
「あっ…!あの時のおじいさん…!」
はっとしたように姐さんが声をあげる。
「ネムあなた知り合いなの?
この失礼なじいさんと」
「あっそっか…!ノエルちゃんはしらないよね…
あのね…このおじいさんはね…お孫さんがね…拐われてね…」
姐さんに説明をさせていたら日が暮れそうだ。
「姐さんここは俺に説明させて下さい」
うんと咳払いをして頭で一度話を順序だてる。
よし
「……俺はな半政府のレジスタンスに所属しているんだ」
まあ俺としては暴れられればそれで良かったからここじゃあなくてもよかったんだけど
「そのリーダーを勤めらているのが……今目の前にあらせられるゼース様だ
そしてそのレジスタンスが本拠地を置くのがこのフロストバーン跡地のここだ」
「それで?なんでネムとこのじいさんが知り合いなわけ?」
「俺の実家のある町……にゼース様は一時期おみえになっていたんだがな
そんときに知り合ったんだろう
少し話しは変わるんだけどな若いかわいい女は売れるんだよ」
「なにが言いたいの?
私を売る気?」
おちびちゃんお前にそんな価値はないなんて言えない
「俺はな姐さんを捕まえて売り飛ばそうとしていたんだ
それがゼース様から俺が受けた命だった
レジスタンス活動ってのも金がかかる
その活動資金調達のためだ」
「ネイソン
さっきから組織の秘密をペラペラ話して何がしたいんだ?
消されたいのか?
その女共々」
それまで黙って話を聞いていたゼース様が唐突に口を開いた。
「申し訳ありません
いえそのような事は……」
「ふんまあいい
それでネイソン、お前は一体何をしに本拠地までやってきた?」
「それなんですが……
非常に申し上げにくい事なのですが……」
続く言葉が出てこない
お世話になったゼース様にそれを言うのが憚れた
「なんだね?
はっきりと言いなさい」
「…………自分は今
横にいるこの2人……それと今はここにおりませんがもう1人の4人で旅をしております」
ゼース様は頷くでも返事をするでもなく目で続きを話すように促す。
「組織を抜けさせてくれとは言いません……
ですがこの旅が終わるまででかまいません
組織での活動を暫くお休みさせていただくわけには行かないでしょうか?」
「…………
なに身勝手な事を言っている?」
「お怒りなのは重々承知です
ですがこの旅は組織の為にもなる事なんです!」
「そんなもの許可できるはずがないだろう
他のものに示しがきかない」
このままじゃ話しは平行線だ。
ここで自分の背後に位置するとびらが唐突に勢いよく開かれたんだ。
「ゼース様大変です!
侵入者です!」