医者とドラゴン9
セイラに呼ばれて隣の部屋へ移動すると
部屋の中央に白いテーブルクロスの敷かれた六人掛けのテーブルの上に四人分の料理が用意してあった。
食事そは凄い質素な物だったが2日ぶりにまともなものが食べられて凄く満たされた気持ちになった。
ここ2日間は
木になっている見たことのない果物や川で捕まえてきたであろうザリガニみたいなものをKに無理やり食べさせられていた‥
ノエルとネムも同様のようで凄い勢いで掻き込んでいた
はしたないですよ!
「さて‥それではアイテルさまについてお話しましょうか」
みんなが食べ終えたのを見るやいなやセイラは語り始めた
「まずアイテル様はこのチャチル王国を作られた創造者でおありです
また今の王族のご先祖様とも言われております
アイテル様を主とするアイテル教はわが国の国教です
我が神殿でもアイテル様を祀っております」
セイラは凄いどや顔をしている
これだけ……?
…なんか凄い内容のない薄い話じゃないか……
「_____そうなのか凄い話だな……」
とりあえず話をあわせておけばいいだろう一飯の恩義がある
「凄く内容のない
うっなにするのよ!うーうー!」
またこいつは余計な事を!全て言い終わる前に無理やり口をふさいで黙らせる
「凄くためになりました…
凄いです…!」
ネムはお利口さんだなちゃんと空気を読んでって……
感じでもないな目がキラキラと輝いてる
ここでノエルから手を離す
「ちょっとあんた何すんのよ!
急に人の口をふさいで!
痴漢なの?キモいの?なんなの?」
とりあえず無視
まだわちゃわちゃなんか言ってるけど無視
「セイラ
チャチル城と言えばなんだが
西にあるとはさっき聞いたんだが
どれくらい歩けばつくんだ?」
「うーんそうですね
ざっと10日くらいで
荷馬車に乗せて貰えれば3日ほどで着きます!」
荷馬車かぁ
そんなのに乗せてもらう金ないからなぁ‥
「10日か……遠いな
荷馬車は無理なんだ
恥ずかしい話だが先立つものがないもんでな」
セイラが端正な顔立ちを崩して凄い驚いた表情をしながら
「えぇっなぜです?
ダークネス・ドラゴンを討伐したではないですか!
町にいって素材買い取り屋にいけばそれなりのまとまったお金になりますよ!
それにダークネス・ドラゴンは討伐の報償金もかけられていたはずです!
国に申請すれば貰えるはずですよ?」
マジかマジなのか
「ちなみに報償金っていくらだ?」
「そうですね
たしか‥1000万チャチルでしたよ!」
果たしてどれ程の価値があるのだろう?
とりあえず城に行くまでの路銀ほどにはなるのだろうか?
「それがあれば何食くらいご飯を食べられる?」
「そうですねー
一生食べるに困らないくらいですかね
ノクティさんはお金の価値を知らないんですか?」
思わず生唾を飲み込む
セイラがまだなにか話しているが、言葉が入ってこない。
一生食べるに困らない?凄い大金じゃないか!
Kには悪いが‥貰ってしまってもいいのだろうか‥?
Kならなんと言うだろうか‥
「俺そういうの興味ないわぁ」と言うはずだ‥きっと
短い付き合いだが、俺にはわかるきっとそうだ