佐世保バーガー
いよいよ佐世保に到着間近に迫った隼鷹 その艦内では仲違いが発生しようになっているのだった…
目がさめると夕食の時間だった
食堂ではいくつかのグループ(チームメイトであったのだろう)がミーティングをしていた 食事をしながら野球について語り、フォームを訂正しあう
こんな平和的で休息的な事を戦時中にできると誰が予想できただろう。俺はここでしみじみと感激していた
聖沢君と島風であった時以来の再会である川上君が俺の両隣の席に座り書類を開いた
まず最初に聖沢君が口を開いた
「沢村さん 貴方の球速ですが政府担当官からは十分だと評価していただいております、ですが変化球は出征前の方が力強かったとの指摘があります この辺はどうしましょう?」
俺は少し間をおいて
「そりゃあまぁ、改善しろと言われれば改善するだろう 変化球については承知したがバッティングの指摘は?」
「バッティングにおいてはスイングの軸が緩いと指摘を受けています、ですが沢村さんは大日本帝国野球倶楽部のエースなのでバッティングはあまりしなくても良いと上層部は言っていますが…」
「それじゃあダメだろ、投手も打者として立つんだ 仮に他の8人の野手がノーヒットノーランに抑えられている時、その勢いと投手だからと気を抜いているノーガードの相手投手からホームランを打てるかもしれないではないか 外国では投手でもホームランを打つのは普通だぞ!」
「失礼しました…」
聖沢君は少し暗い表情になった それもわかる
投手は送りバントさえ上手になればバッティングなどどうでも良い、しかしその心意気が若手投手ややる気のある投手の成長の芽を潰す事になるのだ 士気の低下も招きかねない
「じゃあ気を取り直して夕食とするか」
何か言いたげな川上君を尻目に夕食に取り掛かる きっと彼も聖沢君と同じ考えであったのだろう
夕食後は聖沢君や川上君と特に会話もせず自室に戻った
俺は寝る前にその日あった事を回想する習慣がある
今日は少し感情的になってしまった 明日は気をつけよう
そう心に誓い俺はベットに横になった
おそらく自分たちはそろそろ佐世保に到着する
決戦が近い時に仲違いなどもってのほかだ 戦地で上官に言われた事を思い出す
彼はまだ生きているだろうか…
俺の所属していた部隊には休日に野球をする戦友がいた 彼は横須賀出身で俺と同い年だ
どうやら既に俺のことを知っていたようで初めて会った時は大変驚いていた
次第に仲良くなりキャッチボールをよくやっていたがあの彼は今は無事なのだろうか…
聞くところによると俺の舞台はフィリピンの前線にいるらしい、生存している可能性は低いが彼は絶対に生きて帰ってくる 俺はそう信じている
今から行く佐世保 そして目的地の横須賀は米軍の空襲で既に焼け野原と化しつつあると言うが、その焼け跡に野球場を建てると言うのだ
帝国政府としては野球場を建てる金があるなら銃を一丁でも多く生産したいだろうが、国際野球場(大会用の野球場)を建設した都市には空襲を行わないと言う国際規則があるため安全地帯確保ということで建設する意向だろう 東京の中心的な場所である水道橋に球場を建設するのも陛下を守るためだろうというのは容易に分かる
東京は東京巨人軍 高橋ユニオンズなど多くの球団が軒を連ねる野球激戦地であるが東京巨人軍は1934年設立の日本最古の球団である。古豪チームという事もありファンも多いのだ
なので船内の人は皆 俺を認知しているのだ
俺は少し高揚感を得てその日は眠りについた
明日は佐世保についているのだろう
佐世保でアメリカの球団が開いている店で売られているらしい大人気商品 ハンバーガーという物を食べてみたいなぁと思った
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