完全殲滅作戦 猿の章 燗黨埜剣(かんとうのつるぎ)
「それじゃあ始めようか。」
「先ずは情報収集からですね。」
「今どんな情報があるんですか?」
「猿が関東・東海を中心に活動しているということと、霧島の雄祐が箱根辺りに逗留中であるということだ。」
「関東のみに探索の網を張るんですか?」
「いや、まだ情報が不十分すぎる。東海と言っても三重の辺りまで延びることになる。」
「となると豊田支部と松阪支部に協力を要請しますか?」
「まだ仮定の段階で協力をしてもらうのも如何なものかと。」
「では他に案があるのです?」
「無い。が、伊賀組甲賀組を使えばなんとかなる可能性はある。」
既に集まってから40分以上が経過しており、なかなか議論がまとまらない中ずっと押し黙ったものがいる。阿久樹能勢である。
「おい、何を黙っている。先程からずっとだ。何か案はないかね。」
「………発言させてもらうと、猿の宗則が最後に押し入った店舗を中心として探索するのがいいかと。」
「なぜだ。」
「まずその店舗は既に相手によって落ちている。そうすることで、二度と押し入ることはない。さらに言えばいくつか目星はついている筈だから、しらみつぶしに調べるか、ある程度予測してそこに張り込む方がいい。」
「そうか。ならばその意見を取り入れる。」
「ちょ、長官!?」
「文句あるまい。こうなると梃子入れても無駄だろう。」
「しかし、「黙れ。既に決められたことだ。従え。」………了解。」
こうして漸く作戦が決まった。ここまでに約1時間程かかった。次に作戦の細分化だが2日かかってしまったため以下に示す。
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猿・霧島両咎人及びその仲間たちの捕縛について
1.猿が最後に押し入った店舗を中心として捜索
2.霧島の雄祐がいる温泉を見張る
3.基本的には本部のみの活動とする。ただし、急を要すれば他の支部からの応援を要請する
4.4〜5人体制で回す
5.命令なしでの捕縛はそのときの長に任せる
6.抜刀などの許可は後出しとするが、それ以外であれば与力以上の許可とする
7.いつも通りの巡回とせよ。ただし自分の配下の者のみとする
8.以上とするが、補足があれば順次伝達する