パンドラの箱と武器
ブックマークありがとうございます。
作者嬉し泣きしています。
蜜柑の悲痛の顔に悲しみに染まる理夢の顔。
「み、蜜柑そんな顔しないで下さい・・・もう分かりましたから・・・」
理夢の言葉でも蜜柑の目から流れる涙を止める事は出来なかった。
煮え切らないリリスは「カツカツ」足を進め、お面の陳列棚へと足を進める。
「へパイス!これ、どう言うことよ?!」
リリスは怒り、数あるお面の一つを引き抜くと声を張り上げた。
ヘパイスと呼ばれたお面はリリスに引き抜かれ姿形を露わにする。
お面は狐面で着る服は上下白の袴姿であった。
「ふむ、これはあり得ない事態が起こった!」
「何があり得ないよ!現に昔の私が出てきたじゃない!」
怒りの顔で理夢に指差すリリス。
「ふむ、ちょっといいかい?」
ヘパイスは新しい赤い弁当箱の様な箱をリリスに手渡すと。
「開けてごらん」
と言葉を掛ける。
指示に従いリリスが箱の蓋を少し開け中身を確認すると。
「ガサガサガサ」
黒い油を塗った楕円が音を立てて箱の中を走り回る。
それを見たリリスは顔面血の気が引いて。
「キャァァァーーー!!!ゴ〇ブリィィーーー!!!」
両手を挙げて、気持ちいいぐらい跳ね上がるリリス。
箱はゆっくり回転を数回し、理夢の頭で一度バウンドして地面に落下。
もちろん蓋は空いている。
暫く経つが中身が一向に箱の中から出て来ようとはしない。
それもその筈、箱の中身は理夢の顔を中心に勢いよく動き回っている。
理夢の顔面は蒼白、吹き出す大量の汗。
瞳は小刻みに揺れ、目に涙を溜め、口が引き攣る。
Tウィルス感染者の様に両手を前に差出し、「ギギギ」と関節が錆付いた「からくり人形」の様な歪な動きで、蜜柑に向かい歩み寄る。
「ひぃぃ、た、助けて・・・み、蜜柑・・・ゴ、ゴ〇ブリがぁー・・・」
その言葉を聞いた蜜柑は涙を拭い。
「僕ね・・・理夢ちゃん・・・命の恩人の理夢ちゃんに・・・何か出来ないかな?って・・・ずっと考えてて・・・」
「み、蜜柑・・・」
ニッコリ微笑む蜜柑。
蜜柑の言葉を聞いた理夢は目を輝かせ顔が安堵へと変わる。
「でもね・・・」
「ん?ど、どうしましたの?は、早く・・・」
「それは絶対無理ぃぃーーー!!!」
身体を180度回転させて両手を上げて逃げる蜜柑。
「死んでも無理ぃぃーーー!!!」
Bダッシュで逃げる蜜柑。命の恩人を見捨てる蜜柑。
理夢は呆気に取られ、下を向き、額に血管を浮かばせると。
「オンドリャャャーーー!!!腐れ蜜柑待たんかい!!!」
蜜柑を追いかけ走り出す。
「ギャァァーーー!!!来ないでぇぇーーー!!!理夢ちゃーーーん!!!」
「えっ?!ちょっと!何でこっち来るのよ蜜柑!!!あっち行きなさいよ!!!」
半ベソをかきながらリリスの元に逃げて来る蜜柑。
「助けてぇーーー!!!リリスちゃーーん!!!」
リリスを追いかける蜜柑。
「このお馬鹿!!!こっち来ないでよ!!!」
もちろん逃げるリリス。
「待たんかい!!!」
2人を追いかける理夢。
「助けてよーーー!!!」
「もうーーー!!!こっち来ないでよ!!!」
「ゴルァーーー!!!待たんかーーーい!!!」
暫くこの状態が続き、それを見るヘパイスは何故か・・・少し寂しそうであった・・・
幾つもの「地獄豪炎」を繰り出し、楕円の物体を昇天させたリリスと理夢。
もちろん元凶を創り出した、ヘパイスの袴は真紅に染まり、生命活動ギリギリの状態で話しを進める。
「こ、この箱はパンドラの箱の模造品、本来ならビックリ箱程度の能力しかない箱なのさ・・・し、しかし興味深いねぇーまさか心臓だけ創造し、他を外部で錬成させるとは・・・」
「パンドラの箱?!」
「そ、そう「パンドラ」、私がまだ「アスガルド」に居た頃に作った人体創造用の箱なのだよ!!!絶世の美女を創造したいと依頼があってね!その依頼の元、作成し、依頼の通りに箱の中身に「希望」を詰め込んだのだよ!しかし、それだけでは楽しくないからね、ついでに「厄災」も一緒に詰めこんでやった!あははは、バフッ、面白い様に神界は荒れたよ!あははははははは、バフッ」
吐血しながら話すヘパイス。
「あ、あそう・・・でも!何であの子、私と同じ能力持ってるのよ!」
「んーーー可能性としては・・・えっと君は確か・・・蜜柑君だったかな?」
「あっはい、早乙女蜜柑です。宜しくお願いします」
頭を下げる蜜柑。
蜜柑に近づき蜜柑の顎に手を添え、顔を食い入る様に見るヘパイス。
「中々喰い応えありそうな顔してるね!ハァハァハァ」
「ヘパイス!!!」
リリスの殺気がヘパイスの暴走を未然に防ぐ。
ヘパイスの身体は「ミルミル」傷を癒し脅威的な回復力を見せる。
「み、蜜柑君、君はリリスのステータス値見なかったかい?」
「え?・・・はい見ましたけど・・・でも、もう覚えて無いですよ」
「チッチッチ!記憶と言うものは物質なんだよ、物質は失わない限り無くなったりはしない、つまり脳の破壊だね。覚えていないのは単純に神経回路が繋がっていないだけであって「記憶を忘却する」とは神経回路が切れるって事なんだ。君の記憶の中でリリスと幼女が同じカテゴリーとして認識され同じ能力を持つ人間が誕生したって訳さ」
「私こんな性格してないわよ!!!」
「貴女捻くれていますものね!!!」
火花を散らし睨み合う2人
「もしかしてリリスは2面性を持つ人物では、無かったのかな?」
「あっはい!僕だけの時と他の人が居る時の言葉使い態度は全然違いました」
今度は蜜柑を睨みつけるリリス。
リリスとは逆の方向に顔を向ける蜜柑。
「蜜柑君が開けたパンドラの箱は青い箱、「冷静」さを詰め込んだ箱になるんだよ、因みに赤は「怒り」なんだけどね、あははは」
「何よーそれ!まるで私が「怒り」みたいじゃない!!!」
「あら、今気付きましたの?」
理夢は口に手を添え笑いを堪える。
リリスはヤンキー張りに「アー!アー!」言いながら理夢を睨みつける。
--どっちが子供か分からないよ・・・
蜜柑は決して口にしてはいけない言葉を脳内で呟く。
「それはそうと今日は何の用で此処にきたのかな?」
「ハッ」と我に返るリリス。
「蜜柑の武器よ!スッカリ・ウッカリ・マッコリ忘れてたわ!・・・ねぇーヘパイス!蜜柑に合う武器見繕ってよ」
「ふむ、蜜柑君は、あのお方に転移されたのかな?」
ヘパイスはEXI〇Eの様に身体で円を描き蜜柑をガン見する。
「ええ、そうよ」
リリスが笑顔でヘパイスの問いに答える。
「あははは、やっぱりそうか!いや~実に楽しい!そうだな、これなんかどうだろうか?」
ヘパイスは崩壊寸前の店を漁り、一つのアイテムを蜜柑に差し出す。
「えっ?こ、これトランプですか?」
「あははは、確かにその様に見えるかも知れないね!しかし、これはそんな安い物では無いよ!・・・これはね、具現化するアイテム!想像創作、君の脳内にあるイメージを最大限活用する事が出来るアイテムさ」
「僕お金持っていないんですけど・・・」
「ああ、この世界はねお金という概念が存在しないのだよ」
「え?でも・・・」
「勘違いしないで欲しい・・・無料だって訳じゃない!この世界は契約で成り立っているんだよ」
「え?!契約」
「ああ、そう契約!今回はそうだな・・・リリスと一緒にお風呂に入るなんてどうかな?」
「なっ!!!何いってるんですか!!!」
--意味が分らない何を言っているんだ!!!この人
しかしリリスは顎に手を添え少し考えた後に。
「いいわよ!それで!」
理解が出来ない蜜柑。
「リ、リリスちゃん・・・なんで・・・」
そんな蜜柑を他所にリリスは。
「別に構わないわよ、それでいいのヘパイス?」
それを聞いたヘパイスは顔を赤く染め。
「ハァハァハァ、ああ、もちろん・・・私はそれが欲しい・・・」
歯を食いしばり2人の間に割って入る蜜柑。
「駄目だよ!!!何言ってるんだよリリスちゃん!!!」
リリスの両肩を両手で掴み必死に言葉を掛ける。
「ちょ・・・蜜柑・・・」
それを見たヘパイスは「ニタリ」と不気味に笑い。
「ふむ、ならこの契約は無効になるけど・・・いいのかな?」
ヘパイスの方に振り返り睨み付ける蜜柑。
「うん!リリスちゃんにそんな事させるぐらいなら武器なんて要らないよ!!!」
「何言ってんのよ!!!武器無いとどうやって戦うのよ蜜柑!!!」
「あははは、うん、どうだい?リリスはあー言っているが?」
頭に血が上りヘパイスとの間を詰め。
「ちょっとお前黙れよ!!!」
と襟元を掴もうとして胸に手を差し出した所・・・
「・・・・・あれ?・・・・・」
目茶苦茶柔らかい胸筋・・・
「・・・この感触は・・・」
確かめる様に何度も何度も揉んでみる・・・
「も、もしかして!!!・・・」
「そうそう自己紹介が遅れたね!私の名前は『ヘファイストス』性別は♀百合だよ!」