大魔王の試練⑤
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パソコン不調で更新遅れ気味になっています、ほんとに申し訳ありません。
貴重な時間を割いて頂きありがとうございます。
蜜柑との約束の3ヶ月となった。
その場にリリスも呼ばれ、『あの御方』とリリスは蜜柑の訪問を待つ。
緊迫した空気が流れ、その場の重圧に吐き気を催しそうだった。
リリスの顔には赤みが一切感じられない、寝れていないのだろう、目の下には隈を作り、少し痩せているようであった。
それもその筈、あれから蜜柑とは一度も顔を合わせていない。
蜜柑の眷属のステンとエウリから聞いた話。
蜜柑は今『魔王としての覚悟』に挑んでいる。
『あの御方』に提示した条件は『リリスのレベルを超える』との事であった。
たった3ヶ月でレベル154はハッキリ言って無謀な事である。
リリスはこの世界に転生してから約3ヶ月で神童と呼ばれる様になった。
そして直ぐに2つ名が授けられた『炎剣の舞姫』それがリリスの2つ名。
『あの御方』に仕え初めて約半年。
その名の通り、舞うが如く、魔物を屠り続けて、やっと今のレベル迄上り詰めたのだ。
天才でもこれだ、蜜柑は、自分より劣る、これは・・・揺るぎない事実。
逃げる事は出来ない。
心臓を握られているからだ。そんな事は100%承知している筈の蜜柑。
--何故そんな約束をしたの?
リリスの脳裏に何度も過ぎるその言葉。
--でも、仕方がない事・・・分かっている・・・けど・・・何故3ヶ月間会ってくれなかったの?
リリスが一番引っ掛かるのはそこであった。
しかし、ただの延命の虚言とも思え無い。
蜜柑は、そんなに自分を主張する人間では無い、嫌・・・しなさ過ぎる程だった。
虚言とは自分を大きく見せる為に行われるもの、自分を主張しない人間がする事では無い。
リリスが知っている限りの蜜柑もそうであった。
決して自分を過小評価する事はあっても、過剰評価する事はなかった。
でも解せない、理解出来ない、今の蜜柑がわからない。
しかし理夢は違った、蜜柑を信じていた。
「何をしているのかは分かりません・・・でも、今の蜜柑なら、きっと・・・・・・待つ人間の事なんて何も考えて無いんですから!・・・帰ってきたら2人でインディアンデスロックですね」
と笑って見せていた。
理夢は蜜柑の何を見たの?、感じたの?理解が出来ないリリス。
そして・・・
重量感が有る豪華なドアが1人の人間によって開かれる。
その者は胸を張り、顎を引き、規則正しい姿勢で、何も臆する事なく、中央の真紅の絨毯に足を着け歩み寄る。
両手で目頭を押さえるリリス。
懸命に滲み出るものを止めようと、必死に足掻く。
リリスの前に立ち止まり、真直ぐリリスの顔を見ると、頭をボリボリ掻いて・・・
「ごめんね・・・」
笑顔を作りリリスに言葉する。
蜜柑は笑顔なのに・・・寂しそうであった。
その瞬間察知したリリス。
崩れ落ち、蜜柑に縋る様に、手を差し出す。
蜜柑はその手を握り締め、自分の方にリリスを引き寄せ、強く、ただ強く抱きしめて・・・
「ごめんね・・・」
たった一言であった・・・
リリスの目から大粒の涙が溢れ落ちる。
「やだよーやだよーびがん、びがん、いがないでよ、わだじを、びどりにじないでよーやだよーびがん、だめだよ、いがないでよぉぉーーー!!!」
「ごめんね、リリスちゃん・・・」
リリスも力強く蜜柑を抱き締める。
「ありがとう・・・大好きだよリリスちゃん・・・本当に会えてよかった・・・今までありがとう」
蜜柑はそう言うと、リリスの手を解き、立ち上がり、足を『あの御方』の方へと進める。
「おでがい、びがん、いがないでぇーーー!!!」
リリスの悲鳴が響き渡る。
『あの御方』の前元に着いた蜜柑。
豪華な椅子に座り、足を組む。
4段の低い階段の1m殆ど手前で止まり、いつもの様に土下座して、『あの御方』の言葉を待つ蜜柑。
「もう、良いのかえ?もう少し約束の時間まであるぞ?」
それは嘘であった。
ここに着いたのも約束の時間が少し過ぎていたのだから。
笑みを浮かべる蜜柑。
「ありがとう御座います。約束は約束なので・・・」
「ふむ、まぁーええじゃろ!ホレッこれを胸に当てよ」
蜜柑の手に黒い煙を上げ、それを吸い込み紙が現れる。
「これは?・・・」
「お前のステータスを書き写してくれるアイテムじゃ、はよう、胸に当てよ」
蜜柑は紙を胸に当てると、胸から紋章が浮き出る。
紙に紋章が刻まれ、刻まれた紋章が、蛇の畝りの様に動き、形を変えて、蜜柑のステータスを表せる。
手に持つ紙が吸われる様に『あの御方』の手に収まると、『あの御方』は、肘掛けに、肘を置き、その手で顔を支え、紙を見る。
蜜柑は真直ぐ『あの御方』を見つめる。
顔は見えてはいない、ただ顔を下げる理由が無い。
出来る事はやった・・・でも。
「レベルは86か・・・」
そう、足りない。
だが悔いは無い、自分はやった、やり切ったのだから。
処分を待つ蜜柑。
恐怖が無いとは言えないが、でも、そんなに怖く無い。ただ・・・
リリスと別れるのは・・・とても怖い。
「あのー凄いワガママなんですけど・・・お願いがあるんですけど・・・」
「ほーーー満足な結果も得られず良く言えたもんじゃの?・・・まぁーよい、聞くだけ聞いてやるぞよ」
『あの御方』は紙から目を離さず言葉を交わす。
「リリスちゃんの記憶から・・・ぼ・・・僕の記憶だけ・・・消せますか?」
「・・・フン、つまらん願いじゃの!」
紙を見る『あの御方』の口元が、一瞬緩んだ気がした。
肘掛けに、肘を置いている方の手を、頭を抱える様に顔を支え直すと。
「下がれ、処分は後で知らせる・・・」
「・・・あ、はい」
身体を起こし、クルッと振り返ると重量感のあるドアに足を進める蜜柑。
その姿勢はこの部屋に入った時と同じく、堂々としたものであった。
涙ながらに何かに縋る目で蜜柑を見るリリス。
蜜柑はリリスの横を通る時に笑顔を作り、そのままドア開け、ドアの奥へと消えて行った。
閉まる扉。
リリスの顔が更に歪んだ。
沈黙の間・・・ただ時間だけが過ぎてゆく。
「リリス近うよれ!」
『あの御方』が呼んでいるが、耳に入らないリリス。
「はぁー面倒いのー!・・・でわ、結果を先に言っておくぞ・・・・・・・・・合格じゃ」
『あの御方』の言葉が耳に入る、ゆっくり『あの御方』の方に振り返るリリス。
「・・・・・・えっ?!」
放心状態のまま言葉が漏れる。
「何故?それは聞こえるのじゃ!」
もちろんツッコむ『あの御方』。
『あの御方』の椅子の目の前まで、煙を上げてダッシュで近寄るリリス。
顔と顔の距離は約5cm。
「今なんと仰いましたか?」
目を見開き再度問いかけるリリス。
「・・・・・・・・合格」
不機嫌そうに言葉する『あの御方』。
瞳がパァーと輝きを見せ、満天の笑顔を見せるリリスは、何度も「やったーやったー」とその場で飛び跳ねる。
面白く無い『あの御方』は一発殴ってリリスを黙らせる。
脳天を押さえ転がり藻掻くリリス。
痛みに苦しみながらも、リリスの顔は常に笑顔であった。
暫くして、いつもの位置で片膝を落とし言葉を待つリリス。
「合格に至ったのはスキルじゃ!レベルでは無い」
手で突っ張り紙を遠くから確認する『あの御方』。
「しかし、レベルで約束されたのでは?」
「あ奴が勝手に言っておるだけじゃろ?・・・儂は『大魔王としての覚悟』を見せよ、と言うただけじゃ」
突っ張った手を戻し足の上に手の甲を置き紙を確認する『あの御方』。
「一体どんなスキルなんですか?・・・レベルの上がり方も異常だし・・・ハッもしかして!スキルと関係があるのですか?」
「ブッーブーー、全然ハズレじゃわい!しかし笑ろうてしまいそうになったわい」
滅茶苦茶に唾を飛ばしながら否定する『あの御方』。
「・・・・」
凄い嫌そうな目でそれを見るリリス。
「あ奴がこの3ヶ月で身に付けたスキルは3つ・・・1つは『3肢の魂』」
「3肢の魂?ですか・・・」
「まぁー知らんのも無理ないじゃろ・・・これは義体の顔を複数持つ者が稀に授かるスキルじゃ・・・顔とは剣技・武技・魔法の砲台で有るが故に、数に対して経験値が分散してしまうからの、それを無くすスキルじゃ!」
「・・・義体で顔を増やしたって事ですか?でも・・・」
「じゃな!レベル提示しておいて、レベル上げの妨げになる事は、せんじゃろ!よってこれは、魂食人種で手に入れたスキルじゃろな」
「3肢?・・・ま、まさか?!・・・」
「気付いたかえ?そうじゃこれは、地獄の門番で、手に入れたものじゃろ・・・まぁ~低個体じゃろうがの」
「そ、そんな!無理ですよ!蜜柑3ヶ月前レベル9だったんですよ!それに今もレベル86だし・・・地獄の門番はレベル300オーバーの魔物ですよ!」
「まぁー待て結論を出すのは最後迄聞いてからにせよ!・・・2つ目のスキル『無属性魔法』じゃ」
『あの御方』の言葉を聞いたリリスの頬に汗が伝う。
「なっ!・・・ば、馬鹿な!あり得ないですよ!『無属性魔法』って禁呪では?!」
余りにも信じられない言葉に強い口調になるリリス。
「ああ、そうじゃな!今は禁呪になっておるな!じゃが昔はそうでは無かった・・・現に儂も使えるからの」
「でも・・・どうやって?こんな昔の魔法を?・・・」
顎に手を添え考えるリリス。
「1匹だけの・・・居るのじゃ!・・・この『無属性魔法』を使える魔物が・・・古代の神々が作り出した兵器と言ってもよいじゃろ・・・・・・その名はベヒーモス」
目を見開き口が自然に少し開く。暫くして・・・
「な・・・べ、べ、ベヒーモス・・・神話の魔物・・・れぇ、レベル500オーバー・・・し、しかし・・・そんな魔物どこ・・ア、ア、アアァァァーーー!!!」
ベヒーモス有り得ない名前が出た。
古代の神々が作りだした4足歩行の全長50m程の化け物。
鋭利な前に突き出る角を持ち、全てを噛み千切る尖った牙、相手を威嚇する立派な鬣を持ち、尻尾を持つ、一切脂肪がない筋肉隆々の化け物。
体に見合わない俊敏性と、見た目相応の破壊力、禁呪も使用するからもうお手上げ魔物である。
「気付いたかえ?」
「ユグドラシル・・・湖の神殿、の横、古い神殿・・・あははは・・・でも、どうやって!倒したの・・・」
そこはリリスが教えた場所であった。
古い神殿には鍵が必要であったが、それは『あの御方』から譲り受けた事は安易に予想された。
「そうじゃな!普通にやれば倒せる訳が無いの、その答えが次じゃよ・・・3つ目『不屈の精神』」
「不屈の精神?ですか・・・聞いた事ないんですが・・・」
「あははは、まぁーそれだけお主が優秀って事じゃよ!・・・このスキルはの不死なれば、簡単に手に入るスキルじゃよ・・・ハッキリ言ってこれを持っている事自体が不名誉であるの・・・ただこれのスキルを授かった人間は、大概、精神破綻を起こすのじゃがの・・・面白い奴じゃよ」
腹を両手で抱え、足をバタつかせて笑いながら話す『あの御方』。
「あのー言っている意味がよく分かりませんが・・・」
「メンゴ、メンゴ、このスキルを取得する条件それは・・・死ねばいいのじゃ!」
笑い泣きしたのであろう、涙を拭い、ゆっくり体勢を元に戻す『あの御方』。
「・・・えっ?!」
リリスの額に少し汗が出始める。
「不死じゃからの!授かる迄死ねばいいのじゃ!あははは、簡単じゃろ?」
「な、なに・・・い、言ってるんですか?あれは地獄ですよ・・・あ、あんなの・・・も、もうゴリゴリですよ・・・」
リリスの額に汗が出始める。
「まぁー普通ならそーじゃろうな・・・」
「・・・い、いや・・・あり得ない!!!そんなの絶対無理よ!!!」
もう答えが出ているリリス。しかしそれはとても信じられない事。
「後一つ言って、おかねばならん事があってのー」
「スキル『不屈の精神』はレベルがあるのじゃ!」
それを聞いたリリスの顔が血の気を引いた。
「それが答えじゃ」
『あの御方』は紙を滑らせる様に床に落とすと、その紙がヒラヒラとリリスの前にゆっくりと落ちる。
リリスはその紙を拾い上げると、その紙に目を通す。
「どんだけ死んだんだろうのー・・・1000万回?嫌足りんじゃろ!・・・5000万回?まぁー儂には分らんの・・・この3ヵ月、あ奴はどんなけ苦痛に苛まれ、顔を歪め、断末魔の叫びを上げたのだろううの?・・・どんな思いで、これに至ったのかは儂には分らん・・・じゃがこれは流石の儂でも認めん訳にはイカンじゃろ!」
紙を見たリリスの額から尋常では無い汗が噴き出る。
息をするのを忘れ。
ただの紙に釘付けになる。
--有り得ない・・・有り得ない・・・有り得ない・・・
頭で何度も繰り返されるその言葉。
「あ奴のスキル『不屈の精神』・・・」
リリスは膝を落とし両手を地に付け、勢いよく息を吐き出す。
汗が滴り落ち、又涙も滴り落ちる。
そうそれはリリスが蜜柑に言った言葉であった。
古い神殿の説明をした時にリリスは蜜柑に言った。
「ふ~ん、そんなに強いの古い神殿に出る魔物って?」
蜜柑そう聞かれた。
そして・・・
「まぁ~私達は不老不死だし、何回死んでもいいなら、いずれ倒せるだろうけど・・・地獄よ!」
リリスはそう答えた。
『何回死んでもいいなら』その言葉がリリスの頭に重く圧し掛かる。
『いずれ倒せるだろうけど』その言葉がリリスの胸を締め付ける。
そう蜜柑はそれを実行したのであった。
「レベル100・・・カンストじゃ!」
蜜柑
種族:契約魔族
職業:見習い大魔王
LV:86
HP:515(+500)➡687
MP:510(+500)➡818
攻撃:506(+500)➡595
防御:506(+500)➡851
魔法:581(+500)➡2663
素早:541(+500)➡799
LP:1504➡103004
()追加補正値
スキル
【魂食人種レベル5】
【錬金魔法レベル23】
【二次妄想】
【闇属性魔法レベル32】
【無属性魔法レベル1】
【3肢の魂】
【不屈の精神レベル100】
【睡眠耐性レベル1】
【麻痺体制レベル1】
【毒耐性レベル1】
【魅了耐性レベル1】
【石化耐性レベル1】
【盲目耐性レベル1】
【沈黙耐性レベル1】
【気絶耐性レベル100】
防具
【漆黒のローブ】
全てのステータスに+500
義体
【闇翼レベル8】×2
闇属性魔法効果小UP・飛行可能レベル×20秒
次回は3ヵ月前に戻ります。




