大魔王の試練①
「ガツン!!!」
「・・・・」
「ガツン!、ガツン!、ガツン!」
「ねぇー蜜柑起きなよーーーねぇー蜜柑」
目を少し開ける蜜柑。
--うるさいなぁー・・・
手を使い身体を起こす蜜柑。
そこへ勢いよくリリスと理夢が観音式のドアを開けて入ってくる。
「あ~おはよう・・・」
寝ぼける蜜柑は欠伸を一つ零すとボリボリ頭を掻く。
「何時まで寝てるのよー全く!!!さぁー行くよ!!!」
「へ?何処に?・・・」
「レベル上げに決まってんでしょ!!!」
寝ぼけながら首を傾げる蜜柑。
「もうーーー!!!」
寝ぼける蜜柑の足を掴むリリス。
「理夢このまま行くよ!」
意外な展開に焦る理夢は何故か蜜柑の首を掴む。
リリスは義体を開放して、炎翼を羽ばたかせ勢いよくクローゼットから飛び出す。
理夢は振り落とされない様に必死に蜜柑の首を絞める。
もちろん気を失う蜜柑。
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--『ユグドラシル』『湖の神殿』
蜜柑は目を開ける。
急ぎ上半身を起こし周りを見渡す蜜柑。
しかし誰も周りに居ない・・・
--このままだと殺される・・・
そう思い立ち直ぐに翼の義体に着手する。
項目を確認する。
【炎翼】【水翼】【風翼】【土翼】【光翼】【闇翼】が基本になる様だ。その他にも状態異常効果を持つものや、単純にステータスを上げる為の翼も存在する様だった。
--確かリリスちゃんが持ってたのは『地獄の炎翼』だったと・・・
確認すると100.000LPだった。
「・・・・」
--ノーマルでいいや、闇属性魔法持ってるから、ここはやっぱり闇翼だよね。
【闇翼】
闇属性魔法効果小UP・飛行可能レベル×20秒 取得消費1.000LP
2個必要なんだよね・・・2回ボタンを押す。
【3500LP➡1500LPに変化】
身体の変化は全く感じられない。
「えっと・・・内なる力目覚めよだったかな?」
背中から「ボワッ」と空気に押される感じがする。頬に黒い煙が流れるのが横目で確認出来た。
感覚も直ぐに繋がった事が理解した。
試しに自分の前に翼を構え、それを目視する。
良く見ると羽は確かにあるが、それよりも翼から湧き出る如何にも禍々しい黒い煙に目を奪われる。
触る事は出来ない。直ぐに飛散して籠る事も無い煙。
口元が緩む蜜柑。
大きくゆっくり闇翼を羽ばたかせると身体が宙に浮いた。
片翼5m程の漆黒の翼。
--そうだ魔法も確認しておこう。
【闇魔法レベル1】
『闇の煙レベル1』 『闇の槍レベル1』
【闇の煙:周囲20m有効範囲、黒い煙を発生させて視界を妨げる 効果時間1分】
【闇の槍:周囲10m有効範囲、レベル分の黒い槍を的に向け放出する】
宙に浮いたまま、手を前に向け、言い放つ。
「闇の槍!」
直径10cm程の漆黒の槍が手から、黒い糸を引き、勢い良く直線に飛び出し、10m程の所で煙と化す。
「闇の煙」
爆発の様に一気に周囲を漆黒の煙が立ち込める。
しかし蜜柑には何故か景色が一望出来る。
--す、凄い!!!これなら何とかいけそうだ!!!
身体を地面に付け、胸を張り、足取り軽く『湖の神殿』へと進む。
「我挑む、神の試練」
『湖の神殿』内部の洞窟。
蜜柑は臆する事無くドンドン進む。
そして前方に黒い影が見えた。まだこちらには気付いていない。
その影の正体は骸骨戦士×2であった。
--よし、まずはこれ!!!
骸骨戦士に手の甲を晒し言葉を発する。
「闇の槍!」
漆黒の槍が手から飛び出し、骸骨戦士の骨と骨の間をすり抜ける。
「・・・・」
それを見た骸骨戦士はこちらを振り向く。
吹けない口笛で誤魔化すが、骸骨戦士は蜜柑に向けて駆け出した。
蜜柑は対峙する構えを取り言い放つ。
「闇の槍!」
今度は右胸に被弾。ボロボロと右胸周囲の骨が崩れ落ちる。
だがまだ致命傷では無かった。
「闇の槍!」
今度は頭に被弾。後ろに吹っ飛び回転する骸骨戦士。
ボロボロと頭の骨を崩すが、直ぐに立ち上がり、また向かって来る。
今度は目標を変えて前で駆け寄る骸骨戦士に。
「闇の槍!」
足に命中足が崩れ落ち這いつくばりながら向かって来る。
段々怖くなって来た蜜柑は。
「闇の槍、闇の槍、闇の槍、闇の槍!!!」
手当たり次第に魔法を放出する蜜柑。
飛び散る骸骨戦士の骨。しかし向かって来る。
「ぎゃーーー!!!助けてーーー!!!闇の槍、闇の槍、闇の槍、闇の槍!!!」
助けを求め魔法連射する蜜柑。
骸骨戦士の骨が「コナゴナ」に四方に飛び散り、骸骨戦士は行動を停止する。
そーと忍び足で近づく。
足で骨を「コツク」骸骨戦士は「ピクリ」とも動かない。
無傷の完全勝利だった。
両手に拳を作り、強く握り締め。
「やったぁぁーーー!!!」
暫く喜びに浸る。
落ち着きバラバラになった骸骨戦士を凄く嫌そうな顔で見る。
--心臓食べなきゃだよね?・・・
前屈みになり骸骨戦士の骨を漁る。
--心臓あるのかな?・・・
当然の疑問に行き着く。
そんな心配を他所に骸骨戦士の骨の中から、心臓では無いものの、黒いビー玉の様な物が2つ姿を現せた。
感覚で分かるこれが骸骨戦士の心臓だと。
震える手でそれを掴む。
口元にそれをゆっくり手を添える様に口内に入れる。
味は無い、誰の所有物か、これが何なのか分からなければ、只のビー玉。
同じく2つ目を口内に入れる。
暫く舌で転がすがキリが無い。
歯を立て骸骨戦士の心臓となる部分を噛み砕く。
頭を下げ、肩を落とし、腰を曲げ、両膝を地につけ、それを・・・噛み砕く事だけに集中する蜜柑。
静寂の洞窟の中。
「ボリボリ、ガリガリ」
音だけが響き渡る。
早乙女蜜柑初の『魂食人種』発動。
血肉が無いが人型の魔物という事もあったのだろう、この瞬間に『人間』としての何かを失い、『人間』という概念から逸脱した、そんな感じに陥ったのであった。
それを考えない様に蜜柑は骸骨戦士の心臓を一心不乱に噛み砕き続けた。
蜜柑みかん
種族:契約魔族
職業:見習い大魔王
LV:5
HP:515(+500)
MP:510(+500)
攻撃:506(+500)
防御:506(+500)
魔法:581(+500)
素早:541(+500)
LP:3500➡1504
()追加補正値
スキル
【魂食人種ソウルイーターレベル1】
【錬金魔法レベル1】
【二次妄想】
【闇属性魔法レベル2】
【睡眠耐性レベル1】
【麻痺体制レベル1】
【毒耐性レベル1】
【魅了耐性レベル1】
【石化耐性レベル1】
【盲目耐性レベル1】
【沈黙耐性レベル1】
【気絶耐性レベル1】
防具
【漆黒のローブ】
全てのステータスに+500
義体
【闇翼】×2
闇属性魔法効果小UP・飛行可能レベル×20秒




