プロローグ反撃の狼煙。
漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒、漆黒
そう・・・
その者は全て漆黒。
フード・ローブ・ブーツ・リング・翼・身体から浮き上がるオーラ・裾から見える手・フードから見えるその容姿ですら全て漆黒に包まれていた・・・
その漆黒と光が対峙する。
光の数およそ600強。
対する漆黒は1。
それを見守る村人達。
空は荒れ、黒く濁る雲がその光景を盛り上げる。
「ゴロゴロゴロ」
武器を構える光。
そして・・・・
「ピカッ」「ゴォォォォーーーーーーンンン!!!!」
一瞬の閃光と共に鳴り響く轟音。
光が漆黒が衝突する・・・
「フハハハハ!我が名は大魔王、早乙女蜜柑さぁー勇者よ!我が力の糧となり、その存在をこの世に残すがいい!喰らえ!魂粉砕機」
上空に黒い壁が現れ地面に勢いよく落ちる。
ペチャンコになる光約100人。
「まだだ!まだまだ足りない!我が力がまだ勇者の魂を欲している!喰らえ!魂刈取機」
地上に無数の鋭利な牙を回転させる長方形の箱が現れ、勢いよく走り出す。
血を撒き散らし吹き飛ぶ光約100人。
「くっくそー!!!全員回復ーー一先ず撤退だ!皆急げ!」
「撤退ーーぃ!」
逃げる光約500人。
「フハハハハ!皆見ろ!勇者が逃げて行くぞ!フハハハハ!」
大魔王、早乙女蜜柑の力は圧倒的であった。
倒れた光の身体が輝きに変わり、手を上げた大魔王の手に吸収される。
光の姿が見えなくなると一人の村娘が大魔王に駆け寄り声を掛ける。
「ああ~大魔王様、本当にありがとうございます。本当に・・・本当に・・・」
村娘は膝を落とし余りの歓喜に涙が溢れ落ちる。
大魔王は町娘の肩に手を置くと。
「すまぬ、我が使命--気付くのが遅くなり、お前達には辛い思いをさせてしまったな--余が過ち、どうか・・・どうか許してくれ・・・」
「な!何をおしゃっておられるのでしょうか!そんな事、誰も責められはしません!ですから、そんな悲しい声はしないで下さい。皆貴方に救われました。死んだ者もこれで少しは・・・・」
村娘は泣き崩れこれ以上言葉が出ない様であった・・・
「本当に済まない事をした・・・だが!これからは違う!我が命に代えても、この世界の勇者を殲滅する事をここに誓おう!!!」
高々と手を上げる大魔王。
「さぁ~我に続け!我こそがこの世界の救世主!!!我が名は大魔王、早乙女蜜柑!!!今此処に反撃の狼煙を上げよぉぉぉーーーーー!!!」
「うおおぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
それに続き声を上げる村人達。その声はこの世界の反旗の狼煙--そう、この世界の生態系を狂わす光討伐の狼煙であった。