約束破り
全然楽しくない一日だった。
あいつ、約束破ったのにずっと謝らなかった。
遅れてきたのに遊んでさ。こっちは怒ってるのにみんながいたから一緒に遊んだけど、全然面白くなかった。
あいつ、途中で僕に何か言ってきたけど、もういいって聞いてやらなかった。
夕方になっていつも通りに帰ったら、お母さんに叱られて。
そういえば今日は僕の番だった。
だからいつもより30分早く帰らなきゃいけなかったけど、腹立ってたから忘れちゃったんだよ。
全部、約束破ったあいつのせいだ。
もう行きたくなかったけど、しょうがないからテンバーを散歩に連れてった。
一日ぐらい散歩しなくてもいいだろって思ったけど、テンバーは嬉しそうだった。
テンバーと散歩しているうちに、あれって思った。
散歩の時間に遅れてきたのは僕なのに、テンバーは怒らなくって喜んでる。
僕とは、反対だ。
僕、テンバーに負けてるのかな。
でも約束を破ったのはあいつなんだ。
僕は少しも悪くない。
あいつが最初に謝ればよかったんだ。
そうすれば僕だって怒らずにすんだんだ。
ーでも、本当にそうかな。
あいつがどうして遅れてきたのか、聞かなかった。
あの時、それを言いたかったのかな。
怒るのはその後でも良かったかも。
違う、約束破ったら最初に謝らなきゃいけないんだ。
でもテンバーは、怒ってない。
家に戻ってから、僕はテンバーに謝った。
テンバー。今日は散歩の時間、遅れてごめん。
そしたらテンバーは、僕の顔をペロってなめてきた。
気にしてないよ。散歩に連れて行ってくれて、ありがとう
って言われてる気がした。
僕、間違ってたのかな。