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第23話

本日2話目です。

ご注意ください。

 光のエフェクトを散らしながら巨大ワニが消えるのを、オレはただ呆然と見ていた。

 美也子を食い殺した巨大ワニを倒した実感はあるが、倒した喜びみたいなものは沸き上がって来ない。

 ただ、美也子を喪ったという喪失感だけが、オレの心を埋め尽くしていた。


 と、視界の角にメールの着信を知らせるアイコンが点灯する。

 美也子からだ。

 メールを開いて読む。

 そこでやっと、今のは現実じゃなくゲームの出来事だった事に気付く。


「あ……あはは……」


 自虐的な笑いが零れた。

 そーだよ。

 ゲームだったんだよ。

 美也子は生きてるんだよ!

 あはははははは!


 ひと頻り笑う。

 あー、なんだよもー。

 オレってこんなに美也子の事大事に思ってたのか。

 まさか、ゲームごときで思い知らされるとはなー。

 ははは。


 取り敢えず、巨大ワニは倒して仇は取ったと美也子にメールを送る。

 巨大ワニが居なくなって安全になった細道を渡って五月ちゃんの元へ行く。

 美也子が死に戻ったと告げると、屈めと言われた。

 言われた通りに屈むとチョップされた。


「みーちゃん死なせちゃ、めっ!」


 だそーだ。


 10分もしねー内に悟志達も合流してきた。

 美也子が居ない事を不思議がってたが、巨大ワニに食われて死に戻ってった事を告げると、五月ちゃんと同じよーに叱られた。

 そして、「ゲームだからってあんまり無理すんなよ?」とちょっと的外れな忠告もされた。

 現実と勘違いしてブチ切れただけだったんだがなー。


「あ、五月ちゃん。これ鑑定よろー」


 五月ちゃんに淡く青く光ってる稲みたいな植物を渡す。

 『物品鑑定』の結果は大当たり。

 やはりこれは『月宵草』だった。


 グランツさんにメールを送る。

 すぐに返信が来る。

 丁度美也子からそれっぽい植物を手に入れたと聞いてたとこらしい。

 ケトル村のミゴー武具店で待ってるそーだ。


「んじゃ、美也子と合流しに村に帰るかー」

「おう!」

「うむ」

「「らじゃー」」


 そして悟志は1枚の紙切れを取り出した。


「いくぞー!」


 紙切れを破る悟志。

 と、破かれた紙切れから光が溢れ、それが治まった時にはケトル村の門の外に居た。


 さっき悟志が破いた紙切れは『転位符:ケトル』だ。

 冒険者ギルドで購入出来る便利アイテムだ。

 ただし、1枚で金貨1枚もする。

 生半可な稼ぎじゃ大赤字になるアイテムだから、おいそれとは使えない。


 転位してきたオレらに門番が話し掛ける。

 転位符を使った事を告げるとびっくりされた。

 何はともあれ美也子と合流だ。

 ミゴー武具店に入ると、美也子とグランツさんとミゴーさんが待ってた。

 オレはインベントリから『月宵草』を取り出してグランツさんに渡した。

 それを受け取ったグランツさんは「報酬だ」と言って金貨6枚を渡してくれた。


「正直、期待はしてなかったんだがな? お前さん達は良くやってくれた!」


 そう言って『月宵草』を見付けて手に入れた経緯を聞いてきた。

 ちょっと恥ずかしかったが、ありのままに話した。

 美也子には思いっきり呆れられた。


「ゲームだって忘れてたって……」

「仕方ねーだろー? オレだってまさか自分が……、あー、いや、その、なんだ」

「愛されておるのー嬢ちゃん」


 ガハハ! と笑いながら、グランツさんに冷やかされた。

 オレも美也子も真っ赤になって縮こまる。

 結局、30分くらいオレらをからかって、グランツさんはログアウトしていった。

 他のメンバーとは夜に会うらしい。


 ミゴーさんに装備のメンテナンスを頼み、全員が初心者装備になったところで冒険者ギルドに向かう。

 薬草採取依頼も登録したが、全部で銀貨12枚と銅貨20枚にしかならなかった。

 簡易結界2個に転位符1枚も使ってるから大赤字だ。

 てゆーか、装備のメンテナンス代にしかなってねー。

 まー、その分グランツさんからの報酬で黒字にはなってんだけどな!


 冒険者ギルドで換金したあと、美也子のデスペナも回復してプレイ時間は1時間近く余ってたが、オレらはログアウトする事にした。


 あ。

 ちなみに。

 ステータスを確認したら、オレはレベル7になってた。

 しかも称号が付いてた。

 『大物喰らいジャイアントキリング』だそーだ。

 悟志達も五月ちゃんも、もちろん美也子にも付いてなかったって事は、パーティーは組んでたけどオレ1人で討伐したからなのかねー?

 あと、ドロップアイテムは『グランゲーターの皮(特大)』と『グランゲーターの肉』200kg、それに『グランゲーターフレイル』っつー鈍器だった。

 なんつーか、見た目はグランゲーターの頭蓋骨を背骨で振り回す武器って感じか。

 多分間違ってはない。

 オレが戦ったグランゲーターに比べると、どー見ても小さ過ぎだけどな!

 それは言わないお約束、か。


 一応恵麻が使える装備だったんで渡したんだが、微妙な顔をされたな。

 見た目骨だしなー。


 ランクは上がってなかった。

 けど、バックスタブが2になってた。

 あれも一応バックスタブになんのな。

 知らんかったわー。




 ログアウトして着替えを済ませ、ダイブスーツを専用ロッカーに仕舞う。

 恵麻の爺さんの口利きで、オレらだけが使える専用ロッカーだ。

 私服とかは入れられねーけどな。


 カウンターで終了手続きをしてから佐々木さんと合流し、みんなを見送ってから美也子と一緒に、美也子がグランゲーターにやられてから思った事を話ながら帰った。

 改めて美也子の存在の大きさを実感した。

21時予定の話で一旦終了です。

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