第15話
本日4話目です。
ご注意ください。
ログによると、両手剣ゴブリンはホブゴブリンってゆーモンスターだった。
槍ゴブリンと弓ゴブリンは普通にゴブリンと表記されてたから、武器の違いはそんなに重要じゃねーのかも?
いやいや、魔法使いとかなら全然違うだろーな。
ホブゴブリンが使ってた両手剣は普通にドロップアイテムとして手に入れられた。
コイツが結構強い。
ぶっちゃけ、ブロンズソードなんか目じゃねー。
今悟志が使ってる初心者の剣の基本攻撃力は8だ。
ミゴーさんの店で見たブロンズソードは基本攻撃力が12で必要筋力が15。
対するこの両手剣・ゴブリンガーは基本攻撃力が26で必要筋力が32。
しかも基本防御力8まで付いてやがるうえに耐久+12まで付いてやがる。
どーりでしぶとかった訳だ。
ちなみに、ドロップアイテムの装備は基本的に『???の剣』とか表示される。
それを武具店のNPCに頼んで有料で『鑑定』してもらうか、マジシャンが最初から使えるスキルの『物品鑑定』に成功しないと、本来の性能を発揮出来ねー。
今回は五月ちゃんの『物品鑑定』が成功したから分かったんだ。
成功率は20%だったらしい。
失敗すると10分間『物品鑑定』が使えなくなるそーだ。
しかも、成功率も1%ずつ下がっていくらしい。
武具店での『鑑定』は一律銀貨1枚だ。
取り敢えず、ゴブリンガーは悟志に持たせ、試しに使ってもらう事にした。
幅も広いし分厚いから盾の代わりにもなるだろ。
それから更に2時間狩り続け、オレらは全員レベル4になれた。
ホブゴブリンは現れず、見事に剣ゴブリンばかりだ。
それでもホブゴブリン1匹にゴブリン154匹狩れてるんだから充分だろ。
時間も残り45分程しかなかったんで、ケトル村へと急いだ。
冒険者ギルドでサンズのおっさんに報告して銀貨55枚と銅貨30枚を手に入れられた。
ゴブリンが3匹で銀貨1枚で合計銀貨51枚、ホブゴブリンが1匹で銀貨4枚、半端がゴブリン1匹で銅貨30枚らしい。
ゴブリンて3匹セットになるよーに狩った方がお得なのな。
知らんかったわー。
武具店に向かい、メンテナンスしてもらってたグランツさん達のお古装備を受け取る。
ピカピカに磨かれたそれは白銀に輝いていた。
「同じブロンズなのに色が違う?」
そう、悟志と空牙のブロンズブレストは黄色みがかった茶色なのに、お古のブロンズ装備は全部白銀に輝いてるんだ。
不思議に思ってると、ミゴーさんが答えてくれた。
「コイツらはな、錫の含有量が多いんだ。錫の含有量が多けりゃ硬くて丈夫になるが高くつく。そして色も赤茶色から金色っぽくなり、最後にゃ白銀色になるんだ。お前さん達のブロンズブレストは既製品だから錫の含有量は低い。一方コイツらはオーダーメイドだからこうなったって訳だ。覚えとけよ?」
「へー! ちなみに、ブロンズブレストをこれと同じオーダーメイドにするといくら掛かるんだ?」
「銀貨50枚だな」
「たっけー! フルセットで金貨2枚以上かよ!」
「それだけの価値はあるぞ?」
そう言うとミゴーのおっさんは「作るか?」と聞いてきたが、とてもじゃないが今のオレらには無理だ。
メンテナンスのお礼を言い店を出る。
早速装備した4人はホクホク顔だ。
一方、オレと美也子は初心者装備のままだ。
まぁ、オレの場合はクリティカルポイント狙いがメインだからこのままでも戦えるし、美也子も乱戦になると同士射ちが怖いからそんなに出番はねー。
アップデートまでは、だがな。
ミゴーの武具店を出たオレらは宿屋に向かい、そのままログアウトした。
「皆様、お疲れ様でした」
そう言って佐々木さんが出迎えてくれた。
時間は19時20分になってる。
外はとっくに真っ暗だ。
「では、急いで帰りましょう。悟志さん達3人もお送り致しますので」
「そいつは助かるけど良いのか?」
「もちろんでございます。むしろお嬢様のお友達をお送りしなかったとなれば、私が旦那様に叱られてしまいますので」
「ほえー……ささっちも大変だねー」
うん、どんな風に叱られるんだろーな?
あれか?
縛られたり、吊られたり、垂らされたり……。
「そういう事はされてませんのでご安心ください」
「うおっ!?」
オレの耳元で小声で呟いた佐々木さん。
いつの間にオレの背後を取ったんだ!?
「それでは車まで案内致しますので、少々お待ちください。桃弥様、くれぐれもお気を付けて」
そこで区切ると、またも耳元で囁く佐々木さん。
しかも美也子にだけは聞こえるように、だ。
「幼馴染みという立場を利用して狙う女狐には特に」
「なっ!」
途端に美也子が反応する。
「佐々木さん、あまり美也子をからかわないでやってくださいよ」
「反応が面白いのでつい」
と言って極上の笑顔でオレから離れていく。
「それではまた。ごきげんよう」
「またな。みんなも」
「ばいばーい」
「「また明日」」
「じゃーなー」
みんなに手を振って、美也子と2人で帰る。
いつもより遅いが特に何もなく美也子の家の前に着いた。
その間、美也子は一言も喋らず、ちょっと気まずかった。
「じゃ、また明日な」
「……」
おいおい、反応なしかい。
美也子の頭を両手で挟んで前を向かせる。
目の高さを合わせてもう一度言う。
「また明日な!」
しばし美也子と見詰め合う。
しかし、美也子はオレの手を振りほどいて家へと駆け込んだ。
「なんなんだ? あいつ……」