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第14話

本日3話目です。

ご注意ください。

「グランツさんとミゴーさんの好意は嬉しいんだがよ、なんでこんな事してくれんだ?」


 グランツさんの目を見ながらオレは言った。

 装備を受けとるのはやぶさかじゃねー。

 けど、裏がある話ならろくな事がねーからな。

 そこは一応確かめねーとな。


「ふむ。まぁ怪しむのも無理はねぇな。それにそれは正しい行為だ」


 グランツさんが言う。

 やっぱ何かあんのかな。


「確かに思惑がねぇ訳じゃあねぇよ。むしろ、思惑しかねぇ」

「思惑?」

「あぁ。お前さん達は始めたばっかで知らんだろうがな、この近辺の……っつってもリアルの話な。つまり、幸町さいわいちょう近辺のプレイヤー数はそんなに多くねぇんだ」

「そうなのか?」

「お前さん達は6人居るようだが、何時来てもダイブクローゼットが空いてるだろ?」


 おっさんに言われて気付く。

 確かに、今は日曜の午後だってのに、オレらが使ってるダイブクローゼットは15番から20番だ。

 つまり、人が多そうな時間帯なのに20人程度しかプレイヤーが居ないって事か。


「分かったか? 俺達みたいな大人は超大型の200室のダイブクローゼットを備えた大型施設に行くのが主流なんだ。つっても地元はこっちだ。近場のプレイヤーが増えるに越した事はねぇ。で、こっからが俺達の思惑だ」


 ゴクリ。

 喉がなる。

 てか、こんな事まで表現出来んのかよ!


「実はな、こないだ雑誌でこのゲームのインタビューが掲載されたんだが」

「あぁ、古菅と吉仲のやつな」

「そうそう、それよ。そん中に南西諸島航路の開放ってのがあっただろ? それに関連すると思われるクエストが王都にあってな。そのクエストで『月宵草』ってのが必要なんだが、こいつがどうにも見付からねぇんだ。で、俺達のメンバー全員で色んなエリアを手分けして探し回ってんだが、コイツを探すのを手伝ってほしいんだ。ま、探すのはもののついでで構わねぇからよ。見付けたら教えてくれればそれで良い。そしてコイツらはそのための先行投資って訳だ」


 うーん、聞いてた感じ、嘘を言ってるよーには見えねーな。


「それにな」


 お? まだ続きがあんのか。


「ここだけの話、レイドボス実装の噂が流れてんだよ」

「「レイドボス?」」


 五月ちゃんと恵麻は知らなかったみてーだな。

 てか、美也子はまたぼんやりしてやがる。

 大丈夫か? 本当に。


「あぁ、レイドボスってのはな、いくつかのパーティーで協力して挑むボスの事だ。で、そいつに挑めるメンバーを少しでも増やそうと思っててな。お前さん達、3時前にギルドで換金してただろ? あれ見てお前さん達ならイケるんじゃねぇかと思った訳よ。どうだ? 受け取ってくれる気になったか?」


 オレらは顔を見合わせる。

 みんな乗り気なよーだ。


「ま、良いんじゃね?」

「良いと思う」


 悟志と空牙は装備の充実にもなるからな。


「『月宵草』ってどんなだろうね!」

「カワイーお花なんでショーカ?」

「草って言うんだからホントに草なんじゃないのー?」


 五月ちゃんと恵麻は月宵草の方に興味津々だ。

 あれ? 美也子は?

 あ、オレの後ろに居やがった。

 てか、何やってんだ?


「じゃ、受けるって事で良いのか? 」


 何故かミゴーさんが聞いてくる。

 本当にグランツさんと仲が良いんだろーな。

 悟志が代表して答える。


「分かった、受けるよ。ありがとな、おっちゃん!」

「そうかそうか! おっと、そうだった。フレンド登録しといてくれや。これがねぇと連絡がミゴー経由かギルド経由しかなくなるからな」


 そう言ってグランツのおっさんはオレら全員とフレンド登録した。

 ついでにオレらもお互いにフレンド登録しといた。

 もしかしたら別行動する事もあるかもしれねーしな。

 って、美也子からの反応がねーな。


「おい、美也子。了承ボタン押してくれ」

「みやちゃーん? どーしたのー?」

「え? あ、うん、了解」


 本当にどーしたんだ?

 マジで心配になってきたぞ。


 そんな訳で、オレらはミゴーさんに銀貨35枚を支払って新品のブロンズブレストを購入し、貰った中古の装備のメンテナンスを頼んだ。

 昼過ぎには仕上がるらしいからログアウト前に受け取る事にして、グランツさんとミゴーさんに挨拶をして武具店を出た。

 その足で冒険者ギルドに向かい、前回と同じくゴブリン討伐依頼を受ける。

 その際、太っちょ職員のおっさんに話し掛けたら泣いて喜ばれた。

 このおっさんはサンズと名乗った。

 職員歴5年にして3年振りの窓口対応らしい。

 ……そんなに人気なかったのか……。

 オレらはサンズのおっさんにも時々話し掛けようと誓った。


 前回のルートを通ってゴブリンの居る平原へ向かう。

 朝7時頃の風は少しひんやりしていて、歩いて火照った体に心地良い。

 そういや、こーゆー部分もリアルに出来てるよなー。

 30分程で目的地に到着し、索敵開始。

 5分と掛からずゴブリンパーティーを発見し、慣れた手順で狩っていく。


 ソイツが現れたのは2時間程経った頃だった。

 ゴブリンパーティー2つを同時に相手取っていると、最後に残った1匹が音の出てない笛を吹いた。

 美也子の放った矢がそいつを貫いたが、ちょっと遅かったようだ。


「多分増援が来るヨ!」


 恵麻が叫ぶと、森から5匹のゴブリンが走ってくるのが見えた。

 しかも全部今までのゴブリンとは違いやがる。

 頭1つデカいゴブリンは両手持ちの大剣を持ってるし、他の普通サイズのゴブリンも槍が2匹に弓が2匹だ。

 魔法使いが居ないだけマシか?


 両手剣持ちのゴブリンが接敵する前に弓持ちゴブリンから矢が飛んで来た。

 もちろんこちらも美也子と五月ちゃんが『シャープシュート』と『ファイアボルト』を放っている。

 ゴブリンの矢は移動しながら射ったためか検討違いな方向に飛んで行ったが、美也子の『シャープシュート』は両手剣ゴブリンの右後ろを走ってた槍ゴブリンの眉間を射ち抜いた。

 当然そのゴブリンは即死だ。

 一方、五月ちゃんの『ファイアボルト』ももう一方の槍ゴブリンに命中し、当たった拍子に転倒させる事になった。


 そうこうしてると悟志と両手剣ゴブリンがぶつかり合う。

 両手剣ゴブリンが振りかぶったソレを斜めに振り下ろすも、悟志はそれを斜めに構えた盾で受け流した。

 そして出来た隙を利用して剣でゴブリンの右手を斬り付けるも、浅くしか斬り付けられなかった。


 オレと空牙は転倒した槍ゴブリンと弓ゴブリンに向かった。

 立ち上がろうとしてた槍ゴブリンの頭を蹴飛ばし、弓ゴブリンに迫る。

 オレに蹴飛ばされた槍ゴブリンは空牙の容赦ない一撃で体を貫かれて即死した。

 そんなオレらに弓ゴブリンが矢を放ってくるが、見えてる以上は避けるのも簡単だ。

 オレは左にステップして避け、空牙は槍を回転させて矢を叩き落とした。


「お! 風車か! やるなー」


 空牙にサムズアップする。

 その様子が気に入らなかったのか、弓ゴブリンがギャーギャー叫びながら矢をつがえようとしてたんで、急接近して()()斬り付ける。

 弓ゴブリンの粗末な弓はあっさり切断されて使い物にならなくなった。

 びっくりして固まってるゴブリンの腹に蹴りを入れ、無様に晒されたうなじに短剣を突き刺して止めを差した。

 もう1匹の弓ゴブリンは空牙に胸を貫かれて絶命していた。

 ま、武器が違うだけで普通のゴブリンだったな。


 両手剣ゴブリンは善戦してた。

 悟志との1対1(タイマン)なら良い勝負なんだろうけど、美也子と五月ちゃんの援護と恵麻の回復サポートがあるからな。

 『挑発』を駆使しながら両手剣をいなして斬り付ける。

 左右からは『シャープシュート』と『ファイアボルト』が飛んで行き、受けられる時は両手剣で受け止めてた。

 が、そこはやはり多勢に無勢。

 あっという間に両手剣ゴブリンは満身創痍になり、最後は五月ちゃんの『ファイアボルト』で止めを差された。

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