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場面が何度も切り替わってしまうので分けました。
プロローグ2だと思って下さい(笑)
よろしくお願いします☆
ーー世界に光と闇の調和が揃う時
王を統べるモノが生まれる
火は舞い 水は奏で 風は唄い 土は鳴り
紡ぐ 彼の者は
統率者ーーー
***************
ーーー精霊国の森ーーー
「ーー生まれる……」
ーウマレル……ーーー
「……新しい、統率者……生まれる」
ー……アタラシイ、イーシャ……ウマレルーーー
「帰って来た……! あの御方が帰って来た!」
ーカエッテキタ……! アノオカタガカエッテキタ!ーーー
人間とは違う囁きが幾重にも木霊する森の中で、一際大きく目を引く大樹の根元に人間の形をとるモノと淡く光る球体に囲まれた人影が、穏やかな笑みを湛えている。
「待たせてごめんね、もう大丈夫だから。統率者も生まれるよ。……泣かないで愛し子達。それにあの子はもう居ないけれど、その身に流れる血を受継ぎし子を連れてきたよ」
その言葉を聞いた瞬間、騒めきが辺り一面に拡がった。
「乙女? ……来たの……?」
ーオトメ? ……キタノ……?ーーー
「……乙女!」
ー……オトメ!ーーー
「乙女は一体何処へ……?」
ーオトメハイッタイドコヘ……?ーーー
「あの子は誰の処へ落ちたのかな?」
くすくすと楽しそうに笑い、両手を星空へ向かって広げると柔らかな光の雨が地上に降り注ぐ。
「私の………私達の愛する子ーーー花かげの乙女」
まるで……世界を祝福するかのようにーーー
***************
ーーー【始まりの森】ーーー
「おとーさん、もうかえるのー?」
「んー、そうだな。お父さんの用事はもう終わったから帰るか。エミリの星空観測は満足しただろう? それに、もう寝る時間だよ」
「はぁい。またこようね!」
そう言うと、小さな女の子は森の出口に向かって駆け出すが、出口付近で何かにつまずいて転んでしまった。
「はにゃわっ?!」
「エミリ! 急に駆け出したら危ないだろう!」
「いたぁい……」
涙に滲んだ瞳を足元に向けると、人が倒れているのが見えた。
「おとーさんっっ!」
「!? おい、大丈夫か!? ……意識が無いだけかな。良かった」
「エ、エミリがふんじゃったから……?」
「違うよ、エミリ。エミリのせいじゃないから」
「ほんとう?」
「あぁ。本当に」
目にいっぱい涙を溜めて父親を見上げる娘を世界一可愛いとか思っている場合ではない。
「エミリ、このお姉さんを家に連れて帰るから、こっちのカゴを持ってくれるかい?」
「うん、わかったー!」
親子の会話は続く。
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ーーー同時刻【始まりの森】の奥深くーーー
湖が月の光でキラキラと反射しながら波紋を広げていくと水面が大きく揺らめき、水しぶきを上げた。
「……っふ……」
ーイーシャ、オハヨウーーー
ーココ、ワカル? イーシャーーー
ーイーシャ! イーシャーーー
水に濡れた髪を掻き上げながら周りを伺う様子に、数個の光の球体が纏わりつきながら呼び回る。
「………あぁ。……大丈夫だ。………」
ボソッと少し掠れた声で返事をすると光の球体達が喜びに震えた。
ーイーシャ、ウマレターーー
ーウレシイ!ーーー
ードウホウ、ヨロコブーーー
ーココ、ニンゲン、スムクニーーー
ーウレシイーーー
ーココ、オウイナイーーー
「………人間の国、か………。暫く森に居る。お前……達は、何もするな……」
ーー何か予感がした。
誰かが泣き出しそうな、
魂が揺さぶられる様な、
そんな予感。
青白い月光を浴びて艶やかに輝く黒銀の髪。
ふと、星降る夜空を見上げた瞳は黄色金剛石を嵌め込んだかのように煌々と輝いていた。
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