プロローグ
こちらは全編の共通プロローグになります。
短めですが、よろしくお願いします☆
ふと目を開けると視界いっぱいの星空。青白く光る月と瞬く幾千の星って本当に綺麗。今なら手を伸ばせば届いてしまいそう……なんて思ってしまう程、綺麗で。
(あれ……星、空……? 夜? ……え?)
首を動かすと数百メートルは下であろう、鬱蒼とした森の黒い影とポツポツと灯る明かりらしきものが見えた。ダメだ。アレ。見ちゃダメなヤツだ。
「えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!?」
必死に悲鳴を飲み込み、現実逃避を試みてみるけれど上空からの落下中に思考しようとしても、集中できる筈も無く。無情にも地面との距離は確実に近づいている訳でして。
柏木ゆりの、21歳。長いようで短い人生でした……。死んだらおじいちゃんとおばあちゃんの所に行けるかなとか考えていたら。
上空にはある筈のないオッドアイの双方と目が合う。めが、あう?
「 ……きれいな、め……」
言葉を発するとは思わなかったのか、覗き込んできた目が見開いて息を飲む気配がした。
(もう、……だ、……め……)
私の意識はだんだんと遠くなり、暗転した。
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「……、………。あぁ、びっくりした。意識はないと思っていたのに、起きているのだもの」
ゆりのを覗き込んでいた影が何かを呟くと落下する速度が遅くなる。
そして、慈愛のこもった眼差しでゆりのを見つめていた影は向かい合う様に移動する。
「やっと、やっと君に触れられる……ゆりの」
興奮した少し高めの男の声と嬉しい嬉しいと溢れるような笑顔がそっとゆりのを包み込んで。彼女の肩口にひとつ唇を落として首筋に擦り寄りながら、小さく囁く。
「……おかえりなさい………私の……乙女」
ふわりと揺れたクセのある黒い髪を名残惜しそうにゆっくりとひと撫ですると、男の影は掻き消えた。
ーーーその姿を見ている者が居る事も気が付かずに。
「…………お帰り。我が半身」
不自然なほど黒く塗り潰された影が、掻き消えた影を追うように闇に溶けていく。
そして辺りは静寂に包まれたーーーー
果たしてゆりのは生還できるのでしょうか?
できなかったら話は終わってしまうんですがね(笑)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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