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しじみの味噌汁  作者: 琉夏
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シジミの生態と飼育委員

飼育委員のメンバー紹介

まず、シジミとは何か。それを説明しておこう。


シジミとは、淡水域に生息する二枚貝である。味噌汁に入れるなど食用にもなり、さらに、貝殻は装飾品にも使われる。しじみ汁は美味しい。私の好物だ。十三湖はシジミの名産地であるため、シジミが嫌いな人なんていないはずだ。シジミには無数の可能性が秘められている。


さて、私の学校についても紹介しよう。

私の学校は青森県の県立高校である。高校は家から少し離れたところにあるため、毎朝早起きして電車で通学している。

そんな私の日課は、毎日のシジミのお世話だ。最初はあまり乗り気でなかった飼育委員だったけど、今では楽しく活動している。


飼育委員とは部活動のようなもので、私の学校では必ず部活に入らなければいけないことになっている。他に入りたい部活もなく、さらに同級生たちが次々と部活を決めていく中、私は何部に入るか決められずになんとなく目についた飼育委員に入ったのだった。

しかし、飼育委員に唯一いた先輩がいきなり水泳部に転部してしまったため、部員(委員)は一年生の三人だけになってしまったのだ。




入学してから約三ヵ月が経過した。東京や大阪などに比べると涼しいとはいえ、青森の夏もなかなか暑い。そろそろ海水浴やプールが賑わってくる頃だろう。私の高校は周りに建物がなく、風通しは比較的いい。我が飼育委員の部室は二階にある。今日は週に一回は集まる、委員会活動の日だ。


「今週の委員会会議をはじめます」


委員長はなぜか私である。これも成り行き。


「今週、林檎と蜜柑に変わったことあった?」


林檎と蜜柑とは、飼っているシジミの名前である。どちらかというと大きい方が林檎、小さい方が蜜柑である。但し、この違いは飼育委員にしかわからない。ちなみに、名前を考えたのは私のほかに二人いる飼育委員である。


「林檎の誕生日が近づいてるけど、何かお祝いしようか」


「陽子、シジミにあげるプレゼントなんてないよ」


彼女は浅蜊陽子。私と同じクラスの友達である。明るく、運動神経がいい陽子は、皆と仲が良く先生にも好かれている。少し変なところもあるが、大体の人間は変なものだ。もう一人の飼育委員もかなりの変わり者なのだが、今はこの場にいない。


「あれ、弘幸はどうしたの?」


「近くの田んぼにカエルを捕まえに行ったよ。新しいペットにするんだって」


「確かにシジミだけだと味気ないわね」


カエルを捕りに行っているという彼は、帆立貝弘幸。同じく一年生である。彼もかなりの変わり者だが、意外なことに、この学校きっての秀才だ。見た目がわりといけてるが、その変人ぶりで誰も話しかけない。


「この調子だと、しばらく戻ってこなそうね。何か調べたい事とかある?」


「ずっと気になってたんだけど、何でシジミを育ててるのかな?」


「さあねー私はシジミ大好きだからシジミを育ててるって聞いたとき、やる気が満ちてきたわ」


「良子もなかなかの変態だね」


飼育委員のこの二人にだけは言われたくない言葉だ。二人は学校でもかなりの有名人で、特に陽子は皆の人気ものである。私自身はいたって普通の人間だと自分では思っているが、実際には私も含めて変人扱いされている。

いつのまにか、校内で私たち飼育委員は何かと有名になっていた。しかし、なぜか活動内容は知られていない。飼育委員の活動には興味が湧かないのだろう。


「だけど、シジミがなんで育てられているのか気になるわね」


「どうせ暇なんだから、調べてみようよ」


そんなに大した理由でも無い気がするのだが、陽子の言うとおり、実際暇なのだ。帆立貝弘幸が帰ってこないにもかかわらず、こうして私たちの一大プロジェクトが開始された。

とぅるとぅるとぅる

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