紅の兄妹 5 ひみつのばしょ
白がイメージカラーのクレア。黒がお気に入りな兄、指輪には不思議な力が込められています。国の名前が示す火の象徴かのようなイグニス。
庭にふわりと花の匂いが漂う。煉瓦の花壇に咲く白薔薇は静かに揺れていた。
「薔薇…白は珍しいですね。持っていきましょうか…少し取らせてください」
クレアはしゃがむと素手で薔薇の茎を掴む。そろりと手を伸ばして3本ほど頂いた後、兄に振り向いた。
「刺で怪我をすると危ない…私が持って道案内するからおいで」
クレアから手渡されたみずみずしい薔薇は少し萎れてきたように見える。自分が持つ負の力ゆえかとなるべく平常を装い、庭の柵を越える。
「わぁ、花がいっぱい。いつもここは鍵が掛かっていたから外へ出たのは初めてです」
兄の隣に追い付いて腕を取る。よく見ると、周りには雑草などは一本も咲いておらず野道の落ち葉は綺麗に整備されていた。
「ほら、ここから行くんだ。石段があるから気を付けて」
いつのまにか行き止まりに来ていた。辺りに進めるような場所はない、と思っていたらイグニスの指輪から5センチほどの火球がほとばしり、細い木々を燃やす。
「あ…道。石段ってこれですね」
木々がしっかり燃え切ったのを確認すると、灰を踏みしめ石段を下る。
の先には白煉瓦敷きの道が伸びていた。




