紅の兄妹 3 ひとやすみ
兄の了承を得たクレアは、ほっと肩の荷が降りたように笑顔を見せ。立ち上がった。
「お腹がすきました…朝に厨房へ忍び込んでハム一枚だけしか食べていないんです」
やれやれ、とイグニスは肩を竦める。この子はいつもそうだ。公務以外の時はどんな悪戯をしようかと小さな子供のように目を輝かせている。
「駄目だよ、ハムだけでは栄養にならない。せめてハムエッグとか…」
くすくすと笑いながら語り合う兄妹の隣に部下であるカペルがやってきた。
「突っ込むとこソコですか?」
一国の女王と国王にくだけた口調を聞けるのも、彼らも二人も信頼しあっているからだ。
食堂に通され、パンとスープにゼリーといった簡素な食事を取る。この国で最低賃金を得ている国民を視察し、兄が提案した後にクレアか毎日メニューを質素にした。
部下達には父が溜め込んでいた宝と、遺産で給料を払っている。お陰で大学にやるより宮殿で働かせた方が国家を近くに感じられ。息子や娘を推薦する部下も多い。
「あっ、けれど今朝は川でお魚を捕まえたから夕食に使ってね。私達は外出するわ」
「あまり一人でお外に出るような事は…止めても無駄ですかね。はい、頂きます」
カペルは一礼し、イグニスとクレアのグラスに水を注ぎ足す。太陽の光が反射して揺れる水をイグニスは一気に飲み干した。
「では、着替えたらすぐに出る。護衛はいらないと言っておけ…私用なのでな」
クレアより遅れて席を立ったイグニスは、クレアと共に二階へ向かった。




