第十六話
飛行機の中 (A.M 1:00)・・・・・・・・・
既に香織は寝ている。
そんな状況の中、閃は一人起きている。
その視線は香織の寝顔にある。
「眠れないのですか?」そんな閃に呼びかける佐渡。
「ああ。
なんか、自己嫌悪に堕ちいちゃってさ。」
「自己嫌悪ですか・・・?」 怪訝そうな顔をする佐渡。
「今日さ、久々に神崎さんに会って、仲良さそうに話している香織が羨ましいっていうか、妬んだって言った方が正確かな。
そんな風に思った自分が嫌になってさ。
それでも、もし母さんと父さんが生きていたら・・・
なんて事を考えちゃうんだよ。
もう、あれから十年も経ったのに、吹っ切れたと思ったのに・・・
考えちゃう自分が凄く嫌になったよ・・・。」香織の寝顔を見ながら話す迅雷だが、その瞳には涙が浮かんでいた。
「・・・迅雷様。
人は誰だって辛いことの一つはあります。
それを一人で抱え込むのも、誰かにぶつけるのも、全てその人の自由です。
あなたは、一人で抱え込む方をお選びになられましたが、その選択は時には変えてもいいのですよ。
少なくとも、あなたには、その悲しみをぶつけて欲しいと願う人がいます。
私だってその一人なんですから。
あなたの悲しみは私の悲しみ、そう受け取って貰っても構いません。
その瞳から流れそうなものは、我慢するものではなく、伝えるものでもあるんですよ。」
「・・・ありがとう、佐渡さん。
でも、まだ流しちゃいけないんだよ。
流す資格も、誰かに伝える資格も俺にはまだないんだから・・・。
それに、俺は今日から香織の師匠だし。
師が涙脆かったら、かっこ悪いだろ。
これからは、香織も守らなくちゃいけないんだから。」そう無理矢理笑って、幸せそうな顔をして眠っている香織を見ながら答える閃。
それを見て、佐渡は、
「・・・そうですか。
ですが、今言った事は忘れないでください。
きっと、あなたの助けになれるよう私も強くなりますから。」
「・・・・・・ありがとう。
そろそろ、寝ようかな。
話を聞いてもらったら、なんか楽になったし。
佐渡さんも寝た方がいいよ、明日は早いんだし。」
「はい、お休みなさい。
迅雷様。」
「うん、お休みなさい。」
そして、閃は今度こそ眠りにつくのだった。
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