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第二章:使命と笑顔。そして泪。

「レオン隊長! それはなりません、囮なら我らが! 我らは手傷を負い、皇子を守り切る自信はありません。さらに隊長には皇子を無事にクラウスに送り届けると言う使命があるはずです」

若い騎士が微かな怒気を含み言う。此処での囮は正に命懸けである。行なったが最後、決して生きて還ることはないだろう。

皇子には強い騎士が必要なのだ。皇子をその身一つで守り切れるのは、隊長であるレオンだけだ。

さらに若い騎士達は各々傷を負っている。足を引っ張る事はあっても、役になど立ちそうもない。

その状況で、我らを生かしてどうなるのか。

満足に戦闘も出来ない我らが、無事にクラウス国迄辿り着けるとは思えない。

そう若き騎士は言いたげだった。


「しかし………いや、そうか、済まないな……」

悲痛な面持ちで、レオンは若い騎士達に詫びた。


「何を詫びる必要があるのです。我らは皇子をお守りするために命を捨てると、騎士になった時から誓っていた身。今こそこの誓いを果たせる時、これ程の幸せがありましょうか?」

若い騎士は微笑みながら言った。命を懸けた者だけが得られる、最高の笑み。

他の騎士達もそうだそうだと言わんばかりに頷く。


「そうだな、皇子の為に死ぬ事、それが我らの本望。囮の役、君たちに任せた。しかし隊長命令だ。必ず、必ず生き延びろ。死ぬ事は許さん!例え手足が無くなろうと、目が見えなくなろうと、必ず生き延びて俺に、皇子に会いにこい」

涙を流し、最後の命令を下す。

その言葉に、その場にいる騎士全員が泣いた。


「……有り難き幸せ……。了解しました!必ず…生きて…還ります!」

涙を流しつつ敬礼。それが最後であった

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