邂逅
僕は徹底的に元凶の仇を調べ上げた。
藤堂グループの代表取締役社長、藤堂隆司⸺僕が撃った、今倒れている男だ。表向きはコンプライアンスを重視し何よりも社員を大切にする、らしい。なんと唾棄すべき、大嘘。
『復讐をしても亡くなった人は帰ってこない』『そんな事をして故人が喜ぶと思っているのか』
そう、したり顔でありきたりな言葉を他人は言うだろう。
ならば、遺族のこの抉られる苦しみと怒りはどこへぶつければいいのか。喉を掻きむしられる悲しみは、慟哭は。涙など枯れないのだ、永遠に。
僕の怒りは僕だけのものだ。例え狂っても⸺もう狂っているのかもしれないが⸺自己満足上等だ。父の無念は僕が、晴らす。それは、この世の他の誰にも出来ないのだ。
カタ。
唐突に物音が鼓膜を叩いてハッとした。一気に金縛りが解ける。現実に戻った僕は慌て、侵入した藤堂家の豪奢な洋室を見回した。
誰かいるのだろうか。そういえば隆司に集中し過ぎて注意散漫だったかもしれない。背後を勢いで振り返る。
すると、そこに立っていたのは。
後方のドア。キイと開いたその隙間から姿を現したのは、年端も行かぬ少女だった。
しまった、と僕は青ざめる。
今は真夜中だ。偶然起きてきてしまったのか。彼女にだけは見つかる訳にはいかなかったのに。
少女は、藤堂翠子。年齢は確か11歳。藤堂隆司の一人娘だ。




