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邂逅
藤堂グループ。
比較的新しいものの、時節を巧みに読み急成長を遂げた大企業だ。
僕の父親は、そこの経理を任されていた。
実直な堅物。真面目が服を着て歩いている。家族の僕にさえそう形容される父親は、責任感も非常に強かった。
だから横領で逮捕された時は、すぐに冤罪だと分かった。げっそりと窶れてしまった顔をして、本人も必死に否定した。
だが、どれだけ潔白を訴えても、それを上回って現れる証拠の数々に僕達は叩きのめされた。本当に罪を犯していたなら「うっかり残すはずもない」ものまで明確に、都合よく突きつけられた。
父は身に覚えのない悪事を全て被せられた。
生贄にされたのだ。藤堂グループに。
追い詰められた父は⸺自殺した。




