真実
廊下を曲がり、翠子のプライベートエリアに入る。子供とは言え女子の私室に堂々と入って良いものか戸惑っていると「どうしたの? こっちよ」と手招きされた。寝室であろう前を通り過ぎ、翠子は書斎のドアを開ける。四方の壁一面に様々なジャンルの本が所狭しと並んでいた。
圧倒される僕に「紙の本が好きなのよ。嵩張るけれどね」と説明すると翠子は壁のある部分に触れた。ポウッと四角い光が点滅すると、隠し扉というものだろうか、床の一部が機械音を上げて開く。薄暗い地下へと向かう階段が垣間見えた。
「こ、れは……!」
「驚いてくれたようで嬉しいわ。私の秘密の地下室よ。こういうのってワクワクするでしょ? 降りましょう」
ふふっと翠子は笑うと、まるで遊園地にでも向かうかのような軽い足取りで降りていく。確かに子供の⸺子供だけでなくそれに憧れていた大人も⸺垂涎ものの仕掛けだろう。まるで漫画や小説の世界だ。僕は目の前の嘘のようなリアルに付いていくのに必死で、軽い目眩を堪えながら恐る恐る続いた。
埃ひとつない階段を降りると、あらゆる電子音が聞こえてくる。
そこは、16畳ほどの空間だった。
いくつものモニター、パソコン、タブレット、スマホの置かれた机が、部屋を囲むようにして存在している。その真ん中の椅子に翠子は向かった。隣接する机の引き出しから彼女は何かを取り出すと、ぼんやりと突っ立っている僕の方へ徐に置く。僕はそれを見て⸺目を見開く。
僕が、昨日隆司に向かって使用した拳銃だった。




