真実
刺々しい、その彼女の口調が。
今の僕には、有り難いようで、恐ろしかった。 罪を逃れるつもりは無いと口先では宣いつつも、己の人生はもはや無いものと思いつつも、この期に及んでも。人間とは愚かにも、己の身が一番可愛いらしい。
この先、どんな形でこの少女は自分に罰を下すのか。その不明瞭さが不気味だった。気付くと冷や汗が一筋、こめかみから顎を流れ落ちていった。
「でも……そうね」
翠子は鋭い目つきから一転、再び窓に目を向けた。垣間見える青い空を、飛べない鳥の如く注視する。
「……自分の思う通りに貴方を罰しても、私は心から満足できるかしら」
「そして」と翠子は、一端そこで言葉を切り。
「私が⸺……」
確かに彼女は口を動かして何事かを呟いたが、小さすぎて僕には聞き取れなかった。気になったが、被害者で加害者でもある僕には聞き返す勇気が無い。
翠子は「ふふ、まあそんな深く考えないで」とくるりと回転する。長い髪がふわっと舞った。表情は見かけは明るい。
「そうね。強いて言えば面白そうだったからよ。私は娯楽に飢えているの。知っているでしょう? 私は体が弱くて行動が限られているのよ」
そうしてウインクをすると翠子は再び歩き出す。呆気にとられた僕は我に返ると首を振り、「それは知ってるけど……」と釈然としないまま渋々少女の後を付いていった。




