1/14
邂逅
銃声と共に、その体は右へと傾いた。
迸る血が舞う中で、ゆっくりと。そう、ゆっくりと倒れていく。
僕は、いっそ笑えるくらい震えて、赤い飛沫を凝視していた。
これで、復讐は果たせたはずだった。
だが⸺
それがもしかしたら間違いかもしれないと、間もなく思い知る事になる。
「はあっ、はあっ」
気付いたら全身で息をしていた。体の中心は熱く、だが手先は酷く冷たい。
毛穴の一つ一つがまるで呼吸困難になったかのように粟立ち、息苦しい。吸っても吐いても、全く楽にならない。
いや。楽になんて、なった方がおかしいのかもしれない。この場合。
僕の目は、少し離れた所で仰向けになって倒れている男を捉えて離さなかった。そして僕の指は、トリガーを引いた形のまま固まっている。硝煙の臭いが鼻にまとわりついて、ふとしたら咳き込みそうだ。
ほんの数刻前まで善良な一般市民だった人間が、犯罪者となるのは何と容易い事か。
僕は、たった今、拳銃で人を撃った。




