第八十四話 戦後
レイナはノワールを倒した後、無事にロンやギルと再会し、国へと帰還していた。
国ではすでに勇者という情報が広まっていた。
そして各国の国王に賞状やら褒美やらを貰う――前に事件は起きた。
レイナが突然倒れたのだ。
とは言っても別に重い怪我だとかノワールが残した呪いだとかではなく単純に疲労や緊張などによるストレスが原因らしく、現在は念のため休ませてもらっていた。
「――にしてもこれからどうなるんでしょうね。」
病室の部屋の窓から外を眺めながらレイナが呟く。
「ん? まあ今度こそ平和になるといいけどねぇ……。」
答えたのは見舞いに来ていたロンだ。
「そこは断言してくださいよ……。」
「無理だね。」
「ええ……?」
「だってあの3体の魔物以外の魔物だっているわけだしそれ以外にも争いの原因なんていくらでもあるからね……。」
「……ノワールと話していてそれも知りました。人間同士の戦争ですよね……。」
「……あぁ。ノワールに言われたのか。前まではそういう事は話すべきでは無いと思ってたけどそれなら大丈夫か。…………魔王みたいな圧倒的な邪悪がいる時は人類は協力できる。この前まで協力してたのだからしばらくは大丈夫な可能性は残るかもしれない。だけど数十年もすれば戦争は簡単に起こるだろうね。」
「私、この後何をするか考えていたんですよ。」
「……何かしたいことがあるのかい?」
「私、各地でこれから起きるそういった問題を解決してまわる旅に出ようと思ったんです。」
「……。」
「貴方のような存在をもう作り出さない……みたいな事をノワールに言ったからというのもありますしなにより勇者様とヴィヨレやヴェールの場所を探している時に私知ったんです。今までは知らなかったけど私は旅が好きみたいです。初めて見る物を触り、美しい景色を見て、仲間や旅先で出会った人と話すのはとても楽しい……。だから行ってみたい。」
「俺は君の師匠だ。」
「……。」
「だから君のやりたいことは応援したい。」
「……!」
「好きにしな。」
「ありがとうございます! ……そういえばふと思い出したんですけどノワールの配下の騎士たちは……。」
「行方不明。騎士たち以外のただのアンデッドは消滅。騎士たちは消息を絶ったまんま。……ただ、消息を絶つ直前に瘴気が消えていることは確認しているから怨霊というよりは心残りがあるただの幽霊みたいな存在、つまり害は無いと思われる。もしかしたらノワール、いや、カルドは瘴気を全て吸い込んで自分ごと道連れにしたのかもしれないそうだ。実は君がカルドと話しているくらいの時、全世界のアンデッドが突然瘴気を失い、消滅したのだそうだ。」
「そう……ですか。」
「まあ残党による被害は出ていないから気にしなくて良いよ。」
「分かりました。」
「にしても君はこれから勇者として忙しいだろうね。」
「旅したいのに…………。」
「ハハハハ! まあ数カ月もしたら頑張れば解放されるかもな!」
「嫌だーーー!!」
その数カ月後、ノワールを倒した勇者やその他の多くの英雄と呼ばれた彼らは様々な事をしていた。
先代勇者であり、今の勇者の師匠でもあるロンは魔王との戦争で崩壊した国々の復興を指揮した。
勇者候補と言われロンに鍛えられたギルは生まれ故郷の南大陸の街に戻り未だに活動している魔王軍の残党との戦いに明け暮れている。
そしてノワールと単独で戦い、戦いの最中に勇者となった勇者のレイナは――




