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神話の戦士と今の勇者  作者: サン
最終章 堕ちた英霊

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第七十七話 闇に浮かぶ炎

レイナが剣を向けたのを見て興味深そうにノワールは言う。


「ほう……ロンの弟子か……あの勇者は何処で何をしてるんだ?」

「貴方のアンデッド達と戦ってるよ。」

「そうか、そうか。あの数だけの雑魚どもとか。にしてもカルミア家か……! あのカルミアとはなぁ……!」


もし表情が見えるならニヤニヤしてるだろう声色で話しているノワールにレイナが首を傾げる。


「どういうこと?」

「何だ、知らんのか。カルミア家の人間は子孫に情報を伝えてないのかね……。まあ教えてやろう。……カルミア家は呪われた一族なのだよ。」

「………………えっ?」

「カルミア家には親は普通なのに何故か黒髪の人間が稀に産まれることがある。お前のような奴らだ。そいつらは何かしらの分野に優れていて才能がある。そして……そいつらは必ず戦争に巻き込まれる。しかも世界中が巻き込まれるような大戦争にだ。カルミア家の黒髪の人間がいるということは戦争で多くの人間が死ぬということなのだ。だからカルミア家は呪われている一族と言われている。」


ノワールの話を聞いてレイナは呆然とした。


「お前のせいで多くの人間が死ぬんだ。」

「そ、そんなわけ無い……! 私や私の祖先と戦争とは何の関係も無い!」

「ハハハハ! そう思うならそれでも良いさ。だがな、お前らは実際に呪われている。そういう魔法がかけられているんだ。お前らの一族から定期的に才能を持った黒髪の人間が産まれ、その人間がある程度育った時に大戦争が始まり多くの人間が死ぬというな。それは最早運命のようなものだ。止めることなんてできない。」

「根拠があるっていうの!?」

「無いな。だが少なくともお前の一族から何故か黒髪の人間が産まれ、何故かそいつらはとてつもない才能を持っていて、何故かその時に限って大戦争が始まっているというのは間違いない事実なのだ。……実際、今も起こっているだろう? この状況は偶然に見える必然なんだよ。」


それを聞いてレイナは視界が暗くなるような気分に襲われた。

もしかするとミネやそれ以外にも大勢の人間が自分のせいで死んだかもしれないのだ。


「もしかするとこの戦争で親友でも死んだのか? ハハハハ! 残念だったな。」


嘲笑うようなノワールの声を聞き、レイナの中で何かがふっ切れた。


「…………。」

「あっ?」


レイナの様子が変わったことにノワールは違和感を抱いたらしい。


「確かに私の親友はこの戦争のせいで亡くなった。もしかすると私のせいなのかもしれない。…………けど、少なくともあの子が死んだ直接の原因は貴方達よ! 私はミネの仇をとる!」

「クククククク! できるものならやってみろ!!」


完全に立ち直ったレイナを見つめながらノワールは高らかに音を出しながら腰に下げている鞘から剣を抜き放った。


その剣はロンとの戦いの時にも使った剣であり、炎のような朱色のその剣は薄暗い中でほのかに光っていた。


その剣は滑らかな動きで暗闇の中に残像を描くとレイナの首を刈り取ろうと一気に飛び跳ねるような速さで迫った。


すぐさまレイナはカタナで受けようとしたが少し動きが遅れた。

結果的にそれがレイナを救うことになった。


受け止めようと力強く構えるつもりがその状態の少し前、カタナにまだ力を込めていない時にノワールの剣がカタナに肉薄し、そして激突した。


(なっ!? 重すぎる!!)


力を込めていなかったために偶然、受け流す形になった凶悪な刃が火花を散らしながらレイナのすぐ真横を通り過ぎた。


ひとまずすぐにステップでノワールと距離をとる。


(駄目だ! あの攻撃は重すぎて受け止められない! もし力を入れていて防御しようとしていたらカタナごと吹き飛ばされていたかカタナが叩き折られてたかもしれない!!)


思考が完全に纏まる前にさらにノワールは追撃を加えに来る。


まずは踏み込みで一瞬でレイナを間合いに捉え、鋭い突きを放つ。

払いと違って突きは点の攻撃なので受け流したり防御が難しいため横へ飛び退くことで避ける。


だが避けた先にノワールの左腕に装着されている丸いやや小ぶりの盾が飛んでくる。


さすがにそれまでは避けれずレイナの横腹に頑丈な盾が食い込む。


「かはっ!!」


横腹に鈍い痛みが走る。

だがその痛みで怯んでいる時間は無い。


レイナに避けられた剣がいつの間にか大きく振り上げられレイナ目掛けて振り下ろされるところだった。


「くうっ!!」


ぎりぎりで自分の体とノワールの剣の間にカタナを滑り込ませる。

受け流す余裕などないためまともに衝撃を受け、吹き飛ばされる。


「ほう。攻撃と同時に跳んで衝撃をいなしたか。」


ノワールから少し離れたところまで吹き飛ばされたもののなんとか踏みとどまったレイナは衝撃で少し咳き込みながらノワールを睨見つけ、カタナを構えながらカタナの刃の様子を確認する。

ひとまずはまだ大丈夫そうだがノワールの重い攻撃を何度も食らえば軽さと鋭さが信条のカタナでは簡単に折れてしまうだろう。


特に横から受けるのだけは避けなければならない。

そんなことになった日には一発でカタナは折れるだろう。


「くっ!」

「ハハハハハハハハ!! いやぁ。久しぶりの封印による制限も無い状態で全力で戦うのは楽しいなぁ! もっと粘ってくれよ? せめて俺が満足するまでなぁ!!」


そして、また肉薄してきたノワールの剣とレイナのカタナがもう一度火花を散らしながら薄暗い要塞で交差する。

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