第七十四話 聖戦
少し時は遡り、レイナとギルがちょうど出発した後に人類の陣地に2人の有名人が辿り着いていた。
「お久しぶりです。ドルド将軍。」
「ドルド将軍殿会うのはずいぶん久しぶりだね。」
先に発言したのはロン、後に発言したのはディースだった。
「やあ、2人ともよく来てくれた。……君は怪我は大丈夫なのか?」
「大丈夫です。元々怪我はありませんでしたしね。あくまで急激にレベルが下がったことによる弊害らしいですから。」
「それなら良かった。」
「もし怪我だったら私が治していたのだがねぇ。回復魔法も万能じゃないのだ……。」
ディース教皇が少し悲しそうに言う。
「まあそんなこと分かってますよ。後悔もしてませんしね。……2人は?」
「もう出発した。もう少し速く来てれば会えたのだがな…………。」
「構いませんよ。あの2人なら大丈夫でしょう。我々は我々の仕事をしましょう。決行は正午ですよね?」
「ああ。事前に説明した通りだ。」
「レベルも下がった俺がまともに戦えるかが不安だなぁ……。」
「ハッハッハッ。勇者様なら大丈夫でしょ。」
ディースの呑気な声にロンが呆れたような顔を向けるが気にしないことにした。
「じゃあ準備始めるか。」
―しばらくして―
「よ〜し! 作戦開始だ!」
ドルド将軍の声と作戦開始の合図の角笛を聞いてディースがさっそく魔法を唱え始める。
瘴気をかき消すことができる浄化という聖魔法だ。
ディースならば最上位の魔法が使える。
それと同時にロンも魔法を唱え始める。
ロンはディースと違ってレベルが低い分、魔力が足りないので魔力はあるが聖魔法を使えない魔法使いから魔力を分けてもらっているのだ。
ロンは魔力は無いが技術はあるのでこうすれば十分な効果を出せる。
「おお〜〜〜!!」
2人の手から出てきた白い光がケルグ山脈に飛んでいき瘴気をどんどん浄化していく神秘的な光景に周りの兵士達は感嘆の声を上げる。
瘴気はアンデッドからすれば無くてはならないものだ。
瘴気が少しずつでも消されているのならアンデッドは危機感を抱く。
つまりはアンデッドは瘴気を消す行為を止めようとする。
しばらくするとケルグ山脈から大量の足音が聞こえ始めた。
ケルグ山脈の麓の森からチラチラと剣などで太陽光が反射した光が見えた。
「アンデッド軍が来たぞーーー!!」
その時、森から角笛が響いた。
そして大量のアンデッドが現れた。
全員が多少錆びたりボロボロになってはいるがちゃんとした装備を着ており、完璧に訓練された兵士とはさすがに比べ物にならないが隊列のようなものも組んでいる。
「やっぱり来たか。」
「ちゃんと囮に引っかかってくれたようで良かった良かった。」
ロンとディースがアンデッドが作戦通りになっていることに安堵しているとドルド将軍がさっそく部隊へ指示を出し始めた。
アンデッド軍の先頭集団は騎馬兵だ。
考えてやったというよりもただ単に徒歩の兵士を置いていって先に来ただけだろう。
ちなみにもちろん馬もアンデッドだがそれでも十分な速度でありその速度でランスを持って突っ込まれれば中々の脅威だろう。
「近づかれる前にできる限り削るんだ!!」
突撃してくる騎馬兵に次々と矢が当たるが怯むことなく騎馬兵は愚直に突っ込んでくる。
「来るぞーーー!! 近接戦闘用意!!」
先頭で騎馬兵対策の長槍を持った兵士達が槍を構える。
そして騎馬兵の先頭集団と槍が激突し、大きな衝撃が発生した。
「うわああ!」
「ぐはあっ!」
「ぎゃあああ!!」
先頭の槍兵の間で悲鳴が響き渡る。
敵はアンデッドなので断末魔を上げれないだけで実際のところアンデッド達のほうが断然多く倒れている。
こちらの兵士は聖魔法使いの手によって本来は厄介なアンデッドの不死性が無効化できるので普通の魔物を狩るつもりで戦えるのだ。
「踏ん張っていけ! 時間を何としても稼ぐんだ!」
戦場には悲鳴と怒声が止まることなく響き渡り続けるのだった。




