第七十一話 作戦会議
魔物の群れの襲撃が終わり、しばらくして人類は戦場の後片付けと並行しながら他の作業もこなしていた。
「さて、では作戦会議を始める。」
そんな作業の内の一つ。
作戦会議の開始をドルド将軍が言う。
レイナやギル、それぞれの部隊隊長達が真剣な表情でそれを聞く。
「まずは部隊の損害報告から頼もう。」
その言葉を聞いて損害を資料に纏めていたドルド将軍に昔から仕えている優秀な副官が発言する。
「結論から言うと全体で言えば被害はほとんどありません。少なくとも戦力の低下はあまり考えなくてもいいでしょう。問題は兵士達の疲労です。何せ魔物の数が多すぎて戦闘が長時間に及んだため精神的にも参ってしまっています。しかも現在、兵士達は魔物の死体処理などを行っていますが交代でやっても徹夜になるでしょうし死んだふりをしてる魔物もいるのでこちらでも疲労は避けられません。」
それを聞いてドルド将軍は難しい顔になる。
「しばらくは行軍しないほうがよいか……。」
すると部隊隊長の1人が手を挙げた。
「そういえばそもそもあの魔物の大群は何なのでしょうか。タイミング的にさすがにノワールが何かをした結果でしょうが……。」
それに答えたのは魔法部隊の隊長だ。
「それはこちらで調べた。恐らくだが封印が解けたことで今までは押さえつけられていたノワールの膨大な魔力が溢れ出してそれに怯えて逃げ出した魔物なのではないだろうか。」
「ああ……なるほど……だがそれならば主クラスの魔物はどうなのだ? 強い魔物でしかも縄張り持ちならそうそう逃げんだろう。」
「これも憶測でしかないが今回の群れにいたのは主クラスの中でも中の上かそれ以下の強さの魔物しかいなかった。恐らく強い魔物はそちらの意見の通り逃げてはないだろう。」
その後も作戦会議は順調に進んでいった。
「さて、ではこれからどうしましょうかドルド将軍閣下。」
「長期戦はあまり良くはないだろう。あちらはアンデッドの軍勢だ。兵糧という概念は存在しないのだからこちらの兵糧が先に尽きる。我々は人類の戦力をかき集めたから数が多いからな…………。つまり何とかして短期決戦にするしかあるまい。幸い、魔物はほとんど倒したので天候と地形に気をつければノワールのいる要塞までたどり着くだろう。ノワールはそちらの2人が、周りの軍勢は我々が倒せばよい。」
「となるとそちらの2人は温存してそこまで我々で護衛する必要がありますね。」
「……なんかすみません……。」
「構わんさ。一番厄介な奴は押し付けさせてもらうからな。とはいえ兵士達の疲労が抜けるまではどっちにせよ動けんがな。」
そう締めくくるとドルド将軍は他に聞きたいことは無いかなどを確認して作戦会議を終了させた。
作戦会議をしていたテントからレイナとギルが出てきて2人とも休むために自分のテントへと戻る道の途中で話しながら帰った。
「ノワールの要塞に向けて出発するのが3日後。それまでは休憩だな。」
「3日後、かあ…………この戦いがそれで終わると良いんだけどね……。」
2人は3日後の事を心配しながら帰り道を歩いていった。
そして途中で別れ、テントに戻ってきたレイナは疲れも相まって泥のように眠りについていた。
気づいた時、レイナは山にいた。
(えっ!?)
もちろんレイナは驚くが何故か声が出ない。
あまりの緊急事態に咄嗟に剣を抜く。
するととあることに気づいた。
剣が透けているのだ。
驚愕するが自分の体が透明なことにも気づく。
(どういうことなの!?)
レイナは声にならない驚愕に襲われるのだった。




