第七十話 死屍累々
「駄目だ! 突破されるぞ!」
魔物の群れは魔法と矢で多少は減っていたが未だに出現し続けており無限に来るのではと思われるほどの数だった。
その数の暴力の前についに人類は防衛線を突破される場所も出てきていおり混戦になりつつあった。
そんな中、魔物を蹴散らす場所があった。
レイナがいる場所とギルがいる場所だ。
レイナは岩のように固い魔物も容易に切り裂き、ギルはドラゴンのブレスのような炎で焼き払っていた。
「ギル様! ギル様!」
ギルが狼の魔物達を焼き払うと後ろから伝令の兵士が声をかけてきた。
「どうした!」
飛びかかってきた熊の魔物を槍で串刺しにしながら用件を聞く。
「ドルド将軍からの指令です! 防衛線を一つ下げるそうです!」
「まあ防衛線もほとんど突破されたしそれしかねえか。」
その時、前方のほうから狼などを吹き飛ばしながらやってくる魔物が見えた。
マンモスのような見た目の魔物でかなりの巨体だ。
恐らく魔力量的に主クラスだろう。
「こんな奴までいんのかよ…………あんなのに追われながらなら退却できねえよなぁ……。まあ仕方ねえ。さっさと倒して後ろに引くか。」
その頃、レイナのほうでも同じようになっていた。
「…………私、なんでこんなに人型の敵に出会うかなぁ……?」
こちらではゴーレムが現れていた。
しかもただの石のゴーレムではなく特殊な鉱石で作られているのか真っ青なゴーレムだ。
「まっ、さっさと倒しちゃおう。」
そう言うとカタナを鞘に収め、居合の構えをとった。
ゴーレムは大きくて太い腕を振り上げるとレイナ目掛けて叩きつけた。
だがレイナにそれが当たる直前でレイナは横に滑るように避けてカタナを抜き放った。
レイナがつい先程まで立っていた場所に叩きつけられたゴーレムの腕はあっさりとカタナで真っ二つにされた。
痛みを感じないゴーレムは怯むことなく巨体に似合わない俊敏な動きで切られていないほうの腕を振り上げ、レイナに叩きつけようとした。
だがその腕が地面に到着するよりも速くレイナはゴーレムの足元に潜り込んでカタナで回転斬りをした。
ゴーレムの足はすっぱりと切られ、巨体は支えを失ったことでゆっくりと倒れ始めた。
そして倒れ込んできた巨体の中心、ゴーレムの核がある部分へレイナはカタナを目にも留まらぬ早業で突き刺した。
それによってゴーレムは体から魔力が放出され、ただの鉱石へと戻っていった。
「じゃあ厄介なのがまた来ない内に後ろの防衛線まで引こう!」
そう言うと周りの兵士達と一緒に後ろの防衛線にいる兵士達に援護射撃をしてもらいながらほぼ被害がない状態で退却していった。
それはギルのほうでも同じだった。
ギルも短い攻防でマンモスのような魔物をただの屍に変えて撤退していった。
そして第二の防衛線でまた魔物の大群との攻防戦が始まった。
だが第一の防衛線と違い、こちらは第一の防衛線によって稼いだ時間で完全に準備が整っていた。
「放て!!」
火魔法を利用した最新の兵器、大砲や風魔法で射程距離と精度が格段に上がった投石機とバリスタで魔物達を順調になぎ倒していく。
ドルド将軍による柔軟で臨機応変に行われる部隊の配置転換によってピンチになる部隊はほとんど無い。
主クラスの魔物が出てもレイナとギルがほぼ瞬殺に近い形で殺して回っていた。
その後は危うい状況にもならずに魔物を倒していき、時間がある程度経過した時には魔物の大群は見る影もなかった。
人類の陣地では歓声が上がるのだった。




