表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神話の戦士と今の勇者  作者: サン
第四章 生死の境界線

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/70

第六十六話 力の継承

ロンはギルを看病していた。

相変わらず毒はギルを蝕み続けておりギルの体力は減り続ける一方だ。


「……何か方法は無いのか。」


これで時間の猶予があるならともかく今回はほとんど無い。

運が良くても一日。

悪ければ数時間以内に死ぬと言われている。


これでもしギルが毒耐性のスキルを持っていればまだよかったのだろう。


毒耐性のスキルはレベルが低くてもかなりの猛毒にも効果がでる。

さらには毒耐性のスキルの効果の一つで免疫ができてそのまま解毒、さらにはスキルレベルが上がる可能性すらある。

つまり毒耐性というスキルは最初の一レベルを上げるのが大変で慣れれば難しくない。


だがギルは毒耐性などのスキルを持ってはいない。


「やっぱり何とかしてギルに毒耐性のスキルを手に入れさせるしかない。とは言ったものの……。」


毒耐性のスキルを獲得、スキルレベルアップをするのに一番簡単な方法は自ら毒を飲むことだ。


死なない程度の弱さの毒を飲んでスキルが手に入れるまで放置することで多少しんどいが簡単に手にはいる。

その弱さの特殊な毒をわざわざ用意するのも面倒だしそこからもしんどい目に会いながらスキルレベルを上げるのも面倒なので実は簡単なわりに毒耐性のスキル持ちは少ない。

しんどいというのも大きく、実戦に通用する程度のレベルにまで上げるのはかなり辛いのだ。


だが今回その方法は使えない。

なぜならギルは猛毒に蝕まれているのだ。

これ以上少しでも毒が増えてしまえば即死すらありえる。


そしてこれ以外に毒耐性をすぐに手に入れる方法は無い。


「何か……何か方法は……。」


そのうち、ロンに眠気が襲ってきた。

ずっと戦い続けて疲れが溜まっていたのだろう。

そのまま瞼がゆっくりと落ちていきロンは眠りについた。


気づいた時、ロンは真っ白な空間に立っていた。


「ここは……。」


その時、その空間と同じように真っ白な人間が現れた。


「なっ!?」


気配も生気も感じられない顔の無い人間だった。


「お前は何者だ!」


咄嗟に剣を抜こうとするが寝ていた時に腰に下げていたはずの剣が無い。

魔法も発動しない。


すると白い人間が感情のこもっていない声で喋り始めた。


「私はスキル。スキルは私。」

「はっ?」

「私は貴方が持っているスキル、『継承』の化身と思ってもらいたい。」

「『継承』?」


記憶に無いスキルにロンが首を傾げる。

だがふと思い出した。

ヴェールを倒した時にレベルがかなり上がっていたはずだ。

恐らくその時手に入れたスキルなのだろう。


「スキル『継承』は他人に自分の力を譲渡するスキル。」

「それはつまり俺は弱くなるが他人を強くできると?」

「そういう解釈で構わない。」

「じゃあ先に聞きたいことがあるんだ。何故こんな空間とお前がいるんだ? 他のスキルにこんなものが出てくるようなスキルは無いはずだ。」

「このスキルの効果。スキル所持者がこのスキルを使うべきタイミングにのみこの空間が現れ、スキルを使うことができる。」

「なるほど……。」

「このスキルを使えば貴方はlv1になりそこからレベルアップすることは無くなる。そして全スキルを失う。」


それを聞いてロンは絶句する。


「デメリットが凄まじいな……。」

「ただし失った分だけ貴方が選んだ人間は強くなる。」

「そういうことか……この時、使うべきというのはどういうことなんだ?」

「そういう運命だ。貴方はギルと人類を助けるためにこの選択を必ずするという。」

「ギルが助かる……?」

「ギルへスキルやレベルを譲渡すればギルは助かる。そして強い人間が助かれば人類も助かる。」


ギルを助けることができると聞いてロンは信じられない思いだった。


「ギルを助けられる……。」


だが冷静な思考がロンの頭の中によぎる。


「だが俺が戦えなくなれば大変なことになるのでは?」


これは自意識過剰でも何でも無く事実である。

ロンよりも強い人間は現時点ではいない。

そんな戦力を失えばどちらにせよ人類が滅ぶかもしれない。


「レイナにも力を継承すればいい。」

「レイナにも? 複数人に継承できるのか。」

「その分、1人に行き渡る力は低くなる。」

「だが……それなら……。」


ギルとレイナは時間が足りなかったからこそまだロンよりは弱い。

もしもう少し時間があってスキルやレベルがもっとあればロンを超えていただろう。


つまりロンという勇者を失う代わりにギルとレイナという2人の勇者ができることになる。

断る理由は最早無くなった。


「スキルを使おう。」

「…………。」


そこで初めて白い人間が感情のようなものを見せた。

その感情は戸惑いだろうか。


「……貴方はこのスキルを使えばレベルが大きく下がるため二度と戦えることは無くなるでしょう。それでも、それでもこのスキルを使いますか?」


だがロンに迷いは無かった。


「ああ!」


その時、ロンの体が輝き、光が体の中から飛び出した。


現実でも同じようになっていた。


ロンから出てきた光は二つに分かれ、片方は海の向こうにいるレイナへ、もう片方はギルへ向かった。


光はギルへと吸い込まれ一際強く光った。

光がようやく落ち着いた時、ロンは視界が暗くなり、ゆっくりと倒れていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ