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神話の戦士と今の勇者  作者: サン
第四章 生死の境界線

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第五十五話 勇者と英雄

悲鳴と助けを求める声が飛び交う中、魔法を使ったヴェールがいる樹海へとロンとギルが走っていると樹海の中から小さな影が出てきた。


「ヴェールだ!」


それを身た誰かが叫ぶ。

それは数カ月前にロンとレイナが見つけたヴェールで間違いなかった。


数カ月前の封印されている状態ですら膨大な力を纏っていたというのに封印が解かれた今、その力は比べ物にならないほど高まっていた。


「…………数カ月ぶりだな。勇者よ。」

「そうだな。…………俺は、俺たちは人々を助けるためにお前を殺さなければならない。かかってこい!」

「俺も忘れんなよ!」

「来るがいい! 殺戮してやろう。」


そう言い放った直後、ヴェールを中心とした円形の超巨大な魔法陣が出てきた。


すると地面から大量の木が生えてきた。


「なんだ?」


するとその木が突然襲いかかってきた。


「くそっ! トレントか!」


トレントとは一匹だけでもまともに戦うならAランク下位の強さを誇る魔物であり木の魔物なだけあって一箇所に大量に固まって森のようになっている。


幸いなことにその場所から一歩も動けないという強みを全て消し飛ばすような弱点があるせいでそこまで危険ではない。

まともに戦わず遠くから火矢や炎魔法を撃てば時間が多少かかるが簡単に倒せるのだから。


だが今回ばかりは事情が違っていた。

なぜならヴェールはここら一帯にトレントを召喚しており周りをトレントに覆われているため隠れたり逃げたりすることもできず近接戦闘をするしかないのだ。


遠距離攻撃には弱いが近接戦闘だとAランク下位の強さを存分に発揮する。


「トレントの大群だ!」

「気をつけろ! 蔦を近づけるな!」


トレントの特徴は恐ろしく硬い幹と凄まじい再生能力、そして自由自在に相手を翻弄する蔦だ。

トレントの蔦は時には槍のように、時には鞭、時には蛇のように相手を殺す厄介な武器なのだ。


「燃やせ! 燃やせ!」


トレントは防御力が凄まじく、たいていの武器では切れない。

そして切れたとしてもすぐに再生してしまう。


なので対トレント戦での基本は燃やすことだ。

燃やすと再生もしないし防御力は高いものの炎には弱いのだ。


炎さえあれば普通の兵士でも倒せる。

問題は炎をつけれるかどうかである。


「うわあああぁぁぁ!!」

「ぐぼっ!?」

「た、たす、け――」


炎魔法を使える人間は囲まれないかぎりなんとか戦えるし他の兵士も松明を投げつけるか火矢を撃ち込めばいいのだが弓矢を使えない兵士や松明が足りない場合は悲惨なことになる。


あちこちで首を絞められたり叩きつけられたりする兵士がでてくる。


「おりゃあああぁぁぁ!!」

「ギル! 気をつけて戦えよ!」

「わかってらあ!」


そんな中でトレントを殺して回っている人間がいる。

ギルだ。

ギルは炎を纏うことで強くなるのでロンに全力の火力の炎魔法を当ててもらうことで凄まじいステータスで無双していた。


炎を纏うのでトレントは近づいただけで燃える。

まさにトレントの天敵だった。


「さて、ギルの心配はしなくてよさそうだから俺は俺の仕事をするか。」


ギルの活躍を横目に見てロンは自分の前にいるヴェールへと視線を戻した。


「さて、とは言ったもののどうしたものかな……。」


ロンは既に何度かヴェールへ攻撃していたのだが効果が薄かったため頭を悩ましていていた。


ヴェールの攻撃パターンは効果がある程度あるものだけで考えればそこまで多くない。


戦闘開始時にもしていた木の根の攻撃、トレント召喚、そして刃のような木の葉を飛ばす攻撃の3つくらいしかされていない。

なので攻撃パターンを覚えれば死にはしなかった。

だがヴェールはトレントの体よりも硬い木を体中に付けているため中々剣の刃が通らず、火も効きづらかった。


「すばしっこい奴だ…………。」


ヴェールはヴェールでどの攻撃も避けられてしまうのでロンを倒せず苛立っていた。


ヴェールはまだロンに見せていなかった新しい魔法を発動させた。

トレントを召喚した時の魔法と似ている魔法でトレントのかわりにヒーンビーという強力な麻痺毒を持ち、群れならばBランク上位の強さの蜂の魔物を召喚した。


だがロンは即座にヒーンビーを見るなり毒魔法で一匹残らず毒殺した。


ヴェールが今度は鉄も噛み砕ける顎を持つラーゲアントというこれまた強力な蟻の魔物を召喚する。


するとロンは水魔法で溺れさせて溺死させた。


完璧に全ての手が塞がれるためヴェールは少しだけ唖然としていた。

かつてたった1人で人類と魔王の戦いの戦況を動かした実力は伊達じゃないのだ。

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