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神話の戦士と今の勇者  作者: サン
第四章 生死の境界線

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第五十三話 儚い命

兵士達が歓声をあげる中、レイナは武器もほっぽりだして走り出していた。


「ミネ! ミネ!」


ヴィヨレの尻尾で貫かれたミネへと駆け寄る。

尻尾は抜けたようだがかなりの重傷には変わらない。

なぜならみぞおちを貫通しているのだから。


「大丈夫なの!? ど、どうすれば!」


ミネが弱々しく口を開いてかすれた声を出す。


「ヴィ、ヴィヨレ、は?」


途切れ途切れの声で誰が見ても死にかけだとわかる。


「倒したよ。あなたのおかげで倒すことができたよ。」

「よ、よかったぁ。…………どう、したの?」


ミネが疑問の声を出す。

レイナは今にも号泣しそうな顔だった。

既に涙がポツポツと出ていた。


「な、なんでも、な、ないよ!」


レイナもミネが致命傷を負っており死ぬことを理解していた。

理解したくは無いのだろう。

だが頭は理解してしまっていた。

だが、ミネは現実を受け止めていた。


「ご、ごめん。レイナ。」


吐血しながらも話す。


「な、なんのこ、こ、こと?」

「自分の体のことくらい分かるよ?」


レイナが一層顔を歪める。


「そんな顔しないで。…………今までありがとう。」

「や、やめて。そんなことい、言わないで!」

「やめない。…………私はもう死んでしまう。この傷じゃ生き残れない。」

「そんな…………。」


死に際とは思えないような笑顔でミネは話しを続ける。


「短い間だけど楽しかったよ。…………私、友達があなたが初めてなんだって話はしたでしょ?」

「…………うん。」

「私の一族はね。代々忍者の家系だったの。だから私は忍者として期待され育てられていった。……けど忍者の主な仕事は人を騙し、そして殺すものだった。それを知った時はつらかった。だからまだ幼い時、逃げ出した。人を殺すような一族だと思われたく無かったの。けど、駄目だった。身元を明かせなかったし、なによりもまだとても幼かったからまともな仕事に就けなかった。だから結局、忍者の技術を活かして魔物を倒してお金を貰って生きていくことしかできなかった。」


ミネは家系とその年齢のせいで辛い生活を強要されていた。

だが、それでも親切にしてくれる人間が少しはいてくれた。

だが、そんな時、とある事件が起きた。

魔王の人類への侵略だ。


「あれで私を心配してくれていた人間すら皆死んでしまった。………………あなた()生き残って。」

「もちろんだよ。だからあなた()一緒に生き残ろう。」


ミネはレイナが言った事を聞いて悲しそうな顔になった。


「ご、ごめんね? 無理なの、もう…………。」

「…………なんで……なんでこんなことに……。」

「私の分まで生きて。お願い。」

「……………………わかった。」

「…………よかったぁ。…………短い間だけど……楽しかった。」


そしてミネの体から力が抜けた。


「う、うわあああぁぁぁん!!」


戦場に痛々しい鳴き声がしばらくの間響き続けた。

そしてそれを止める人間もいなかった。


この戦争に参加した十万人の人類陣営の被害内容。


怪我人、0人

死亡した者、82人。

死亡した英雄、1人。


回復魔法をとても重要視していたおかげで戦争としてはとてつもなく少ない被害であり本人達の考えはともかく数字だけ見ると歴史的な大勝利といえるだろう。


少なくとも人類全体で見れば喜ぶことだった。


だがそんな大勝利が消し飛ぶような情報が数日後、レイナに伝わる。




ヴェールとの戦闘はかなりの苦戦で、ヴェールは倒せず、被害は甚大。

結果的に戦闘に参加した兵士の大半が死亡したと。

この情報は世界中に激震を走らせた。




―ヴィヨレ視点―


(アア、意識ガ薄レテイク。心臓ガ傷ツイテイル。モウ助カラナイ。……ナゼコウナッタノダ。マダ我ハ復讐ヲ成シ遂ゲレテイナイ! 数百年モノ間、アノ暗イ場所ニ封印サレタアノ恨ミヲ晴ラスコトモデキナイノカ!? フザケルナ! ナゼダ! ナゼダナゼダナゼダナゼダ! 百万ノ蠍ヲブツケタノダゾ!? タッタ十万ノ人間ガナゼアンナニ戦エル! ナゼ蹂躙サレナイ! アノ将軍ノセイダ! 完璧ナ指揮ダッタ。ナゼコンナ大戦争デモ全ク緊張シナイ! 普通ハドコカデ必ズミスヲスルトイウノニ! 奴ノセイデ途中マデ指揮バカリニ意識ヲ取ラレテシマッテ魔法モ使エナカッタ。モシ指揮ヲシテナケレバ各個撃破サレテイタカモシレナイシドチラニセヨ負ケテイタ。 …………ダガソレハマダ良イ。ノワールノ軍勢ダッテイルコトダシ前例ガアルナラマダ理解デキル。問題ハアノ生意気ナ小娘共ダ! ドチラモ恐ロシイ強サダッタ。アンナ化ケ物ガナゼイルノダ! 1人ナラトモカク2人ダト!? 勇者クラスノ人間ダッタゾ! 特ニアノ黒髪……数カ月前ノ時ノ胸騒ハ正シカッタ。奴ハモシカシタラ我ヲ封印シタアイツニモ…………アア、畜生。モウ意識ガ――)


そこでヴィヨレの意識は永遠に失われた。


間違いなくこの戦いは終結したのだ。

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