第四十四話 氷の崖
「はっ!? こ、ここはどこ!?」
レイナががばりと飛び起きる。
最後の記憶は崖下へ落ちていったことでその後どうなったのかは分からなかった。
ひとまず周りを見渡すとどうやら崖の下だと思っていたここは正確には峡谷の下だったらしい。
右も左も崖で登れそうにはない。
「これからどうしようか…………あれ? そういえばなんで私は生き残ったんだ?」
崖は何十メートルもの高さで普通に考えれば即死しているはずだ。
周りの物を観察すると理由が分かった。
「この雪かな? 積もった雪がクッションになったみたいだね。雪で死にそうになって雪で助かるって……。」
さらに言うと狭い峡谷だったため風が入りにくく風も防げたのだ。
「まあそれは良いとして今考えるべきなのはここからどう出るかだね…………どうしよう。」
崖の高さを見てレイナは頭を抱えた。
高いのでジャンプで行くなんて論外。
杭のようなものがあればそれを突き刺して足場にできたのかもしれないが足場にできるものはない。
崖の表面は凍っているため掴みながら登ることもできない。
「どこか登れそうな所を探すしかないかぁ……。」
こうして崖沿いにひたすら歩くことになる。
水は氷を魔法で溶かせば手に入るし食料はかなりの量を持っているので多少は時間がかかっても大丈夫だった。
すると歩き始めてすぐに魔物が出てきた。
鳥のような魔物が寝ていたのだ。
どうやら吹雪をしのいでいたらしい。
レイナが剣を構えるとレイナに気づいたのか鳥の魔物も起きた。
かなり大きい魔物だ。
するとすぐに鋭い爪を突き立てようと襲いかかってきた。
だが狭い崖では自由に飛び回ることができないのかレイナに一方的にやられていく。
結局最後はボロボロで血だらけの状態で逃げ去っていった。
それからもこの峡谷で風や吹雪をしのいでた魔物と遭遇しながら進んでいった。
歩き始めて2日後、ようやく登れそうな所を発見した。
蔦のような植物が生えていたのだ。
千切れないか少し引っ張ってみたが思った以上に頑丈のようだ。
レイナはそれを掴みながらなんとか崖から這い出るのだった。
「……次からは天候にもちゃんと注意しよう……。」
山の天気の恐ろしさを体に刻み込まれ反省して次は何か対策するとこを決めるのだった。
一度前哨基地に帰ることを検討したがかなり悩んだ結果、食料や物資はまだかなりあったためもう少し探索することにした。
前哨基地の人間や付近の村の村人達によるとこの山脈は一度吹雪が出ると1週間は絶対に出ないそうなのでそれを信じることにしたのだ。
さらにもう一つ探索する理由があり、ここもいつかノワールとの戦いの戦場になることが予想されるためレベル上げのついでにこの山脈の地形の情報は集めてきてほしいと前哨基地の人間にも言われているのだ。
前哨基地の人間では奥地までは行けないため今のところレイナしか行ける人間がいないためレイナが地図なども書いていた。
ちなみにレイナはスラム街出身なので地図の書き方なんて知っているわけもなく仕方なく前哨基地の人間に教えてもらいながら必死で覚えたのだ。
「地図がまだ書けていないのってあっちの山とかかな…………。」
前哨基地の人間が書いた地図とレイナ本人が書いた地図を見ながら山脈の奥地へと足を運んでいった。
地図を書くのはその後も順調に進んでいった。
だがレイナは地図を書くためにここに来たわけではない。
「レベル上げしたいんだけどな……魔物いないしなぁ……。」
山羊の魔物を倒してからというものまともな魔物と遭遇できておらずレベルもほとんど上がっていなかった。
「また山頂行くか〜。」
前回行った山の主の豹は瞬殺できたためもっと強い魔物と戦おうと思っていた。
「こういう時のための地図だよね……どこにしようか。」
地図には山の高さもちゃんと書いてあるためそこそこ高い山を選んで登ることにした。
「そういえば近くにけっこう高めの山があったような。……これだ!」
少し前に見つけていた高い山を思い出しすぐに地図で位置を確認しながらその山へ向かうのだった。




