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神話の戦士と今の勇者  作者: サン
第三章 最後の休憩

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第三十九話 成長途中の剣士

その時、レイナが話しかけてきた。


「ミネの訓練内容だけじゃなくて私にも教えてくださいよ。なんでミネに伝えただけでやりきった雰囲気出してるんですか。」


完全に忘れていたロンは慌てて答える。


「いやいやそんなことないよ?」

「…………。」


レイナが冷たい視線を向け、そしてロンは小さく咳払いして話し始める。


「けれど君がするべきことがあまり無いんだよね……。」

「無い!? 私の課題を解決できるようにすればいいのでは!?」

「ならばまず君の課題を言おう。……無い!」

「えぇ!?」

「冗談抜きに無い!」

「そんなことありますか!?」

「君、自覚が無いようだから言っておこう。君は既にかなり強い!」


レイナは信じられないのか訝しげな表情を浮かべる。


「私が強い?」

「強いよ。十分。」

「ですが前のあの巨大蠍には敵いませんでしたよ?」

「あれはね……多分、というかほぼ間違いなくAランク上位クラスかSランク下位クラスの強さの魔物だからね?」

「え…………?」

「そんな反応されても……。」

「だって私、いつの間にそんなに強くなっていたんですか? というあの魔物、Bランクくらいかと思っていたんですけど……。」

「強くなったのはヴェールとかと会う直前くらい。」

「…………?」

「そんなに信じられないのか……。」

「Aランクの魔物って一般人がそんな短期間で倒せるようになれるものでしたっけ。」

「いいや?」

「えぇ……?」


ロンにはレイナが心の底から困惑していることがとてもよく分かった。


「だから出会った時にも言っただろう? 君にはとんでもない才能があるって。」

「にしたってそこまで早く成長します?」

「だから異常なんだって。」

「…………。」


レイナもようやく認めたのかただ単に諦めただけかはわからないが何も言わなくなる。


「君に足りないものをあえて言うなら実戦経験くらいだしな……。」

「そればっかりはどうしようもないですよ。」

「そうだろう? だからどうしようもない。」

「なら私は何をすれば……?」

「う〜ん…………。」


するとロンがふととあることを思い出した、といった感じの表情になる。


「それなら強力なモンスターの出る危険地帯にでも行くかい?」

「…………ん?」


レイナが首を傾げる。


「俺くらいにはならないと苦戦するような魔物が出る可能性のある地域に行って戦えばいい。我ながらなんていう名案を思いつくんだ!」

「いやいやいや。」


レイナが首を左右にすごい勢いで振る。


「そんな勇者様クラスでないとやばいところに私1人で行けと!?」

「それ以外に方法無いし。」


レイナはよっぽど嫌なのかなんとか説得できる材料を探す。


「そもそもそんなやばい場所なんてありますか?」

「あるけども? ヴェールがいた樹海とかヴィヨレがいた遺跡地帯とか。」


ロンが笑顔でレイナを論破する。

レイナも負けじと意見を出す。


「けどそんな遠くに行ったり帰ったりする時間はありませんよ!」

「すぐ近くにあるじゃないか。」

「え?」

「ケルグ山脈。」

「え、だけどそこって……。」

「ノワールがいる場所だね。」


レイナが愕然としながら言う。


「私が出会ったら瞬殺されませんか!?」

「大丈夫大丈夫。山脈の奥にまで行かないと会わないしそもそも俺の封印があるからしばらくは動けないはずだ。」

「…………そういえばふと思ったんですけど封印されている敵に攻撃したら簡単に倒せません?」

「もちろんできるけど?」

「えっ、それなら……。」

「ただし、ノワールやヴェールやヴィヨレ相手にはできない。」


ロンの矛盾した答えにレイナが困惑の表情を見せる。


「どういうことですか?」

「これが普通のモンスターと普通の封印ならよかったんだけどね……。」

「どういうことですか?」

「魔法があまり得意じゃないレイナは知らないよな…………封印ってね、敵を閉じ込める魔法なわけだからわかりやすく言えば牢獄なんだよ。それでね牢獄って当然中から出れないようにするわけだけど中にいる奴を脱出させようとする外にいる連中からも防ぐ必要がある。だから封印魔法は実は外からの干渉にも中からの干渉への強さほどではないにしてもかなり強いんだ。そしてあの3体はかなり強力な魔物だからその分、封印のほうも強力でね……そこら辺の攻撃は簡単に弾くんだよ。そもそもその封印されてる連中の強さの詳しい強さがわからない以上、手を出せば大変なことになりかねないから…………って大丈夫?」

「大丈夫……じゃないです……。」


レイナが情報の整理が追いつかず頭がパンクしかけているのを見てロンは少し呆れながら一旦話をやめるのだった。

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