第4話『招待状が届いたなら』
丸井を起点に起こる、大爆発。
「うわぁぁぁぁっ……………………え?」
立ち昇る爆炎と黒煙。数秒経ち、黒い煙が晴れた。
地面にスタッと降り立つ丸井。自分が無事だということに気がついて、ゆっくりと立ち上がった。
「な、なんだお前……なんで俺をっぐああああ!」
丸井の首に巻き付く炎。
「ひとつ質問に答えて。あなたは『ニュンリン』?」
「ぐあぁっ!な、なんだそれ!知らないっ!」
「降参して、早く」
「ぐあぁぁぁぁっ!!わかった!降参します!!まいりましたぁっ!」
「ふんっ。所詮、金目当ての弱者ね」
丸井が、情けない声で降参を宣言。それを聞いた宗華は、ゆっくりと息を吐き出しながら炎を消した。
「それでは、宅間宗華様の要求が叶えられます!丸井太郎様は要求には抵抗できませんので、ご承知おきください。それでは、グッドラック!」
ナビゲーターはどこかに消えてしまった。空間が歪み、もといたビル1階に戻ってきた。
「あなたたちも、早く帰りなさい。もし何か少しでも犯罪行為をしてみなさい。地獄まで追ってあなたたちを殺すわよ。そうでなくても、ずっと監視しているからね」
宗華の脅し。丸井の手下たちは全員、慌てて逃げていった。
「宗華!いったい何が起こったの!?ていうか強すぎ…………」
宗華に駆け寄る井曽。
(流石に隠し通すことはできないか。ここまでバレると、バラしてもペナルティはくらわない)
宗華は、自分の出自がバレることは言わずにゲームのことだけを説明した。
「なるほど……なんとも非科学的ね」
ガリ勉高岸由奈の、冷静な分析。
「こんな漫画みたいなことが起こるなんて」
オタク女子、丹好子は複雑な感情になっている。
丸井組にて。
「カシラ!本当に丸井組を解体するのですか?」
「ああそうだ!文句あるか!」
手下にそう言い放つ丸井。
放課後。自宅でもある会社のマンションに帰ってきた宗華。
(丸井太郎がまさか転生者?あの状況でわたしは転生者ですなんて嘘をつくとは思えない。だけど…………丸井太郎がニュンリンなわけないッ!)
用意された自室に入り鍵を閉め、机の上にカバンを置く。
そのまま、ベッドに倒れ込む宗華。その手には、1枚の手紙。
「真白から手紙って何の用だろ?」
【明日夜、校門前で待ってます 真白】
翌日の夜になり、宗華は手紙の指定通り校門前に来た。
「宅間!ごめん待たせちゃって……」
そう言って、5人の中で最後にやってきた真白。
「せっかく宅間が呼んでくれたのに……遅くなってほんとごめん!」
「え?真白が呼んだんじゃないの?」
はぁはぁと息を切らす真白に、不思議そうな視線を向ける由奈。
「待って!私と真白の言ってることがちぐはぐ……何かヤバい!」
長年の勘というものがあったのか、宗華は危険を感じとっていた。
しかし次の瞬間、空間がデジタル風に歪んでどこかの白い部屋に飛ばされていた。
「ねえ、何?何が起こったの?宗華ちゃんが言ってたゲームってやつ?」
驚き慌てふためいている好子。
「え?それじゃあ真白が呼んだってこと?」
「待って!あたしじゃない!」
井曽の言葉に真白は叫び、しかし落ち着いて否定した。
「私たち以外の何者かにハメられたのよ!だって、この時代にわざわざ手紙で来てたもの」
「あ、そうか!確かに宗華の言う通りかも」
宗華の言葉に、井曽は納得する様子を見せた。
「やっほ〜!!」
5人の声ではない女の声が、5人の後ろから聞こえてきた。
振り向くと、そこにはナビゲーターがいた。その姿は、ソーカ・エカイッシュが初めて出会ったナビゲーターのものだった。
「エントリーありがとう!きみたちにはゲームに参加してもらうよ!」
「な、なんなのっ!?なんでエントリー?ていうかエントリーってなに?」
ナビゲーターの言葉に、露骨に驚く様子を見せる井曽。
「ちょっと!なんで私はともかく他のみんながエントリーされてるのよ!」
ナビゲーターに怒鳴る宗華。
宗華は、ゲームに様々な形式があることを知っている。しかし、自分以外がエントリーされていたことで驚いていた。
「それは宗華ちゃんならよく知ってるでしょ〜?このゲームはビジネスでもあるんだから、参加費を受け取って開催してるに決まってるじゃ〜ん。ひひっ!」
不敵な笑みをうかべるナビゲーター。
(このテのゲームの参加費相場は、ソーカだったころに使ってた通貨を日本円に換算して……えっと…………時価総額とかコロコロ変わるしわかんないって思ってそこまでは調べてなかったな……)
思考を巡らせる宗華。
「宗華!そうなの?これってビジネスなの?」
「そうよ、井曽。まあ、私も全貌は知らないけどね。ところでナビゲーター。参加費って何万円なの?早く教えなさい」
「え?もう宗華ちゃんは急かすなぁ〜。240万円だよ」
ニヤリとした表情で答えるナビゲーター。
(240万円…………まさか!)
宗華はその金額に心当たりがあった。