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第3話『食べた料理の力を身に纏うチート最強JK』

「ファイトゲーム!」


 わかりやすい安直なネーミング。その場にいる全員が、そのゲームの内容を簡単に予想できるほどだった。


「ファイトゲームは、1対1でどちらかが降参か死亡するまで戦うゲームです!殺し合いなので、特に反則はございません!ただし、著しくゲームの進行を妨害するような行為が確認された場合、こちらで()()させていただきますのでそこだけはご注意ください」


 やはり、大まかな説明は全員の予想通りだった。


「怖いこと言うわね……まあ知ってるけど」


 ぼそっとつぶやく宗華。


「そして、丸井太郎様は宅間宗華様に『要求』ができます!丸井太郎様、宅間宗華様に要求をどうぞ」


 丸井の方を向くナビゲーター。


(そう。特定の個人にゲームを挑む時のこれ……『要求』。最近丸井組が急に資産を増やしてきたという情報があったのは、丸井組組長がプレイヤーに選ばれて個人にゲームを挑んできたから。そして、証を持つプレイヤーが特定の個人に挑むゲームの場合……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。まったく、酷い仕様だよ)


 宗華は、資産家たちがこぞってヤクザの丸井組に資産を譲渡する怪事件の話を聞いた時、その結論に至っていた。


「俺が勝ったら、欲しいのは宅間グループの資産全て!今あるものだけじゃなく、これから稼ぐ資産も全てだ!」

「承知いたしました。では宅間宗華様、それと同価値のものを要求できます」


 こんどは宗華の方を向くナビゲーター。


「そうね……なら、そこの小汚い猿のヤクザが持つ丸井組を解体してちょうだい。そして、今後一切犯罪行為を行わないことを約束させて、それから丸井太郎がゲームで奪った資産を元の人たちへ還元して」

「それはできません、宅間宗華様」

「ちっ……やっぱりグループひとつ程度では全部の資産を還元することはできないね。なら、ふたつの要求はそのままに、残りの価値で可能な限りでどう?」

「承知いたしました」


 交渉の結果、可能な限り資産を返すという要求で決まった。


(この『同価値までの要求』は、必ずしも金銭、資産的意味とは限らない。金以外の価値は、運営が独自に裁量してる。まあ簡単に言えば、割とガバガバってところね)


 500年前のゲームの経験から、宗華はその仕様を理解している。


「それでは、ゲームスタートです!」


 ナビゲーターの合図とともに、宙に浮いている画面が消えた。


「丸井太郎……私はあなたを許さない。あなたは、私の大切な友達に手を出した」


 宗華の声は、怒気をはらんでいる。


「たかが企業の会長が、この俺とファイトゲームを挑まされることになるなんてな!この勝負、勝った!なにせ俺は、()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

「なんですって!?」


 丸井からのまさかの発言に驚く宗華。


「ちょっとどういう意味よ丸井太郎!?あなたまさか!!」


 思い出される、ソーカの頃の記憶。

 そこからニュンリンが転生した可能性を思いついたが、今目の前にいるヤクザの丸井太郎が転生者という言葉を使った。その事実に、驚きが隠せなかった。


 丸井が手をかざすと、宗華に向かって氷が伸びていった。宗華はアクロバティックな動きでそれをかわした。


「ほう、少しはやるな……」


 睨み合う宗華と丸井。


「丸井太郎……あなたのことは知っているわ。うちのリストに要注意人物として載っているから」

「それがどうした?俺はお前を倒して、鍵と能力をいただく!」


 宗華に向かって発射される氷柱。宗華は、それをアクロバティックな動きで難なくかわしていく。


「さっき、私に残念だと言っていたけど……残念なのはあなたの方よ」

「何?」

「あなたの氷能力ごときが、私の能力に勝てるわけがないのよ」


 宗華から放たれる殺気。思わず、丸井はゾクッとしてしまう。


「そう、私の能力に勝てるわけがないのよ……」


 宗華が念じると、目の前に大盛りのカレーライスが出現した。


「「「えっ??」」」

「は?」


 呆気にとられた声をあげる宗華の友達と丸井。


 宗華は、スプーンを使ってカレーをひとくち、口に運ぶ。

 残ったカレーの皿を、友達4人にむかって放り投げた。


「みんな、食べたかったらそれ食べていいよ。普通のカレーだから」


 友達4人に向かって宗華がそう言った。


「は、はっはははは!料理を出す能力か?そんな能力でどう勝つというんだ!プレイヤーに選ばれたはいいが、とんだクソザコ能力だったようだな!」


 わざとらしく笑い、勝ち誇った顔で近づいてくる丸井。


 丸井の足元が凍り始める。地面を伝う氷が宗華に向かっていく。

 氷が宗華を捕らえようとしたその時。


「はあっ!」


 ボウッ!!


 宗華の足元から炎が出現し、氷を溶かしてしまった。その強さは、まさに無双。

 しかし、まだ全然本気ではない。


 宗華の体から立ちのぼる炎。


「いやぁぁっ!宗華が燃えた!!」

「銀蓉!大丈夫!」


 悲鳴をあげる井曽。炎の中から叫ぶ宗華。


「な、なんだよそれ……お前、まさか!JKのくせに、素人じゃないのかよ……!」

「あなた、その反応からすると今まで無能力者を多く狙っていたようね」


 宗華の顔が、怒りで歪んだ。


「わかる?バカが力を持つと、あなたみたいにろくなことにならないのよ。だから私は人を助けるために力を使うし、高みを目指すことを怠らない」




 思い出される、ソーカ・エカイッシュの頃の記憶。

 バカ(婚約者)(権力)を使われ、処刑されそうになった時のこと。




 宗華のもうひとつの能力。それは、『食べた料理に応じた特性を身につけ、眷属として扱う能力』。

 例えばカレーだと炎といったように、その料理の持つ特性のようなものが戦闘能力として色濃く反映される。また、眷属を召喚して戦闘させることもできる。


「あなたはとんだクズなようだから。死んで」


 そこから、2人の戦闘が開始された。


「はぁっ!くらえぃ!」


 ボボンッ!ボンッ!


 氷柱ミサイルが宗華に向かって飛んでいくが、宗華は炎でそれを難なく迎撃。


「こんどはこっちの番よ!」


 宗華が一瞬で丸井のもとまで走り、丸井を高く蹴り上げた。


「ぐあっ!速っ……強っ!?」

「審判の(とき)よ!」


 宗華はグミを複数出現させ、丸呑み。すると、飛び上がった丸井の上に巨大なグミが出現し、丸井をボヨンと反射した。


「はぁぁぁぁーーーーっ!!」

「う、うわぁっ」


 驚き怯える丸井に向かって、手をかざす宗華。手元に出現した火球が、直径2メートルほどにまで巨大化した。


 ボウッ──!


「うわぁぁぁぁーーーーっ!!」


 丸井を包む、とても大きな炎。

 グミ食べると体がブニブニしそうな能力。

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