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第2話『ヤクザのカチコミ。1on1のゲーム』

主要人物が新たに何人もでてきますが、とりあえずはそういうのがいるんだってくらいの認識で大丈夫なので難しく考えないでください。主人公には友達がいるんだって言うキャラ付けです

 ある日の昼休み。

 宗華は、好子を含めた4人の友達と会話している。


「宗華〜。家から金盗まれたんだけど」


 宗華にベタベタくっついてくる女友達。彼女の名は、銀蓉(ぎんよう)井曽(いそ)

 金持ちの父を持つ、美人令嬢である。


「銀蓉家から盗めた人がいるの?ていうか、ちょ、銀蓉!近すぎっ!」


 宗華は、ベタベタ近づいて抱きついてくる井曽を手でどけた。


「ふふっ。銀蓉、宅間が好きだからってあんまりくっつきすぎると宅間にまた殴られるよ」


 そうやってクスッと笑ったのは、女子生徒の黒園(くろその)真白(ましろ)。貧乏学生。


「そうだよ、銀蓉」


 真白と同じくその様子を眺める、女子生徒の高岸(たかぎし)由奈(ゆな)。成績優秀で、宗華と肩を並べる天才。


 宗華(そうか)好子(こうこ)井曽(いそ)真白(ましろ)由奈(ゆな)の5人は仲のいい友達。

 宗華は、特に井曽と付き合っているわけではない。


「宗華、楽しみだね〜!」

「そうだね、井曽」


 井曽は、宗華に対するスキンシップがとても激しい。


 そんな友達との会話を、宗華は楽しんでいた。人望の厚い宗華のもとに集まるその様子は、百合ハーレムにさえ見える。


(500年前は友達なんてできなかった……こんな私にも、友達ができていいのかな…………いや、私を好きでいてくれてる友達なんだ。大切にしたい)



 5時間目。


「それじゃあ、修学旅行の班分けをしたいと思います!」


 教壇に立つ宗華と井曽。2人は学級委員である。


 男子17人、女子13人の計30人。人数に調整をきかせつつ、計5班に分かれることになっている。


「宗華〜!一緒に班なろうねっ」


 井曽が宗華にベタベタくっついている。

 宗華、好子、井曽、真白、由奈の組み合わせですぐに班が決まった。あと1人、クラスの女子を招き入れた。



 放課後。帰ってきてから、宗華は会社の業務で忙しい。

 社員たちが出してくる事業案にYESもしくはNOを出したり、書類整理をしたり。


「あ゛〜しんどっ」

「会長、お茶です」


 社員がお茶を持ってきた。


「っ、ぷはぁっ!ありがとう」


 コップを持ち、一気に飲み干す。


「最近、大企業や資産家がこぞって丸井組に資産を()()()()怪事件が多発しています。どうか会長もお気をつけて」

「ええ、知ってるわ」



 一方その頃。

 ネックレスをしている派手な男が、宅間グループのビル前に立っていた。男は部下を引連れていて、まるでヤクザのような雰囲気を感じさせる。


 その男は、プレイヤーの証である鍵を握りしめている。


「やれ」


 男がそう言うと、トラックが音を立てながらビル入口に向かって勢いよく突進。


 ドガシャァァァァン!!


「きゃぁぁぁぁっ!」

「うわぁっ!」


 入口にいる社員たちから悲鳴が上がる。


 トラックが通った後には、キラキラとしたガラスが散らばっていた。入口は大破し、自動ドアは完全に機能しなくなっている。


「おい、そこの受付嬢!」

「ひぃっ!」

「宅間の会長に繋げ」


 男に怖い顔で迫られ、受付嬢は涙を浮かべながら怯えている。


 じっと睨まれながら、受付嬢は受話器を取って会長がいる部屋へ繋ぐ。



「え?ヤクザがトラックで突っ込んできた?」

『はい……入口が大破させられてしまって……おい早く会長に繋げと言っただろ!』


 宗華が耳に当てている受話器から聞こえてくる受付嬢の声が、急に男の声に変わった。


(ヤクザ……丸井組!)


『お前が宅間の会長だな?』

「そうだけど、何?」

『お前に()()()()()()()()()()()

「!」


 その言葉を聞き、宗華の表情がこわばった。そしてすぐに、怒りの表情に変わった。



 宗華が1階に移動すると、そこで驚きの光景を目にした。


「なっ!?」


 宗華の友達4人が、ヤクザの部下たちに捕らえられて縛られていた。


「こいつら、お前の友達なんだろう?勝負を断ったり、()()()()()()()()()を使えば……こいつらは死ぬぜ?」

「くっ……!」


「宗華!」

「宅間さん!」

「宗華ちゃん!」

「宅間!」


 井曽、由奈、好子、真白が怯えた目で助けてほしそうに宗華を見つめる。


「あなた!私の友達に何をしたの!」

「とある女から依頼があったから誘拐しただけさぁ!」

(まさかゲームを申し込みにくるなんて。しかもこいつ……要注意人物に指定されてる丸井組の丸井太郎!)


 ゲームは、開催されるものの他に、プレイヤーに申し込むタイプのものが存在する。


 丸井が会長室の机に鍵を突き立てると、不思議な力で鍵が机に差さった。


 そして広がっていく、謎の空間。バグったテレビのような、デジタル空間のような不自然な挙動を見せた次の瞬間、宗華たちは全く別の空間にいた。

 そこはどこかの平原だった。


「な、なにここ……宗華!これはなんなの?」


 井曽に問われるが、


(このゲームは、自分からバラせば参加資格を剥奪される。ニュンリンを探している私は、それだけは避けなければならない)


 その問に対する答えを喋ることができなかった。


「くっ。みんなまでついてきてる」

「俺はこいつらが死んでもいいが、お前は困るだろう?さて、ゲームを始めようか。来い、ナビゲーター!」


「呼びましたか?」


 丸井が叫ぶと、ナビゲーターの女が姿を現した。よく見ると、宗華と馴染みのあるナビゲーターとは少し姿が違う。


「今からゲームを執り行うぜ!相手はそこの宅間宗華だ!」


 高らかに宣言する丸井。


「承知いたしました!では、丸井太郎様と宅間宗華様の勝負で、ゲームを開催いたします!」


 ナビゲーターが、虚空にホログラム画面を出現させた。


「お2人にやっていただく勝負は…………」


 固唾を飲む宗華と4人の友達、そして丸井とその手下たち。

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